2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外マトリックスがアトピー性皮膚炎の病態形成に果たす役割
Project/Area Number |
20790806
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
白石 裕士 Saga University, 医学部, 助教 (80452837)
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 細胞外マトリックス / Periostion |
Research Abstract |
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア障害と免疫学的異常によって特徴付けられる慢性皮膚疾患である。細胞外マトリックスタンパク質の発現誘導や関与が示唆されているが、病態形成の寄与など詳しいメカニズムは明らかになっていない。本研究では、IL-4/IL-13によって誘導される細胞外マトリックスタンパク質であるperiostinのアトピー性皮膚炎における役割について解析を行った。アトピー性皮膚炎患者組織の病変部やアトピー性皮膚炎モデルマウス皮膚組織では、periostinの顕著な発現が認められ、その発現量と好酸球浸潤などの炎症所見との間に相関があることが明らかとなった。さらに皮膚炎の病態形成におけるperiostinの役割を明らかにするためにperiostin欠損皮膚炎モデルマウスを作製したところ、野生型マウスに比べて皮膚の肥厚や炎症が顕著に抑制されていることが明らかになった。Periostinが表皮肥厚を誘導する機構をin vitro皮膚再構成系を用いて解析したところ、periostinがケラチノサイトの増殖や分化を直接促進していることが明らかとなった。また、periostinはケラチノサイトからのサイトカインの産生を誘導することで、炎症の慢性化に寄与していることが明らかとなった。以上より、periostinがアトピー性皮膚炎の病態形成に寄与していることが明らかとなり、periostinを標的とした創薬の可能性が示唆される。また、periostinのような細胞外マトリックスタンパク質が組織の構造維持だけでなく、慢性的な炎症をも制御しうるという重要な知見を提供できた。今後さらに詳細な解析を行い、作用機序について明らかにする必要がある。
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Research Products
(17 results)