2010 Fiscal Year Annual Research Report
悪性黒色腫個別化治療を目指した薬剤感受性と遺伝子異常の関連解析
Project/Area Number |
20790808
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
肥田 時征 札幌医科大学, 医学部, 助教 (90464487)
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Keywords | 癌 |
Research Abstract |
平成22年度は計6人の新規悪性黒色腫患者から手術検体を採取した。6個の検体のうち、5個は原発巣、1個はリンパ節転移から採取した、組織型の内訳は、末端黒子型悪性黒色腫(踵1例、趾2例、指1例、リンパ節転移1例)、結節型悪性黒色腫(膣粘膜1例)であった。遺伝子解析用に全ての検体から組織の一部を凍結保存し、全ての検体から、DNA、RNAの抽出を行った。細胞培養は2例で実施可能であった。1例目は踵部悪性黒色腫から行ったが、色素性細胞の増殖がみられず、終了した。2例目は足趾の悪性黒色腫から行ったが、線維芽細胞の増殖が速く黒色腫細胞の分離が不可能であった。現在までの初代培養の経験から、黒色腫細胞を分離増殖するためには、初日のトリプシン処理が重要であることがわかった。すなわち、原発巣から採取した検体は表皮、真皮成分からなっており、黒色腫細胞はその両者に存在する。真皮成分には線維芽細胞が豊富であるため、表皮成分(と黒色腫細胞)を真皮成分から過不足なく分離する操作が重要である。実際、前年度までには数例でこの表皮成分からの培養に成功している。トリプシン処理は、件台採取部位(皮膚厚、角層の厚さ)に影響されるため、検体毎の慎重な操作が求められる。この点において、手技を標準化することが容易でないことが判明した。また、あらたな培養法としてプラスチックメンブレンを用いてのメラノサイトーケラチノサイト共培養系を検討した。この方法により、検体から採取した細胞とfeeder cellを分離して培養を行うことができ、feeder cellの分裂増殖の可能性が疑われる際には有用な方法と考えられた。
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