2008 Fiscal Year Annual Research Report
樹状細胞の機能と遊走における血小板の役割に関する研究
Project/Area Number |
20790810
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
峠岡 理沙 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 助教 (80464585)
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Keywords | 血小板 / 樹状細胞 / 接触皮膚炎 / P-セレクチン |
Research Abstract |
BALB/cマウスの耳介にハプテンである1%trinitrochlorobenzene(TNCB)を塗布して感作させ、その7日後にマウスの耳介に1%TNCBを塗布することにより接触過敏反応を惹起させた。またその一方で、BALB/cマウスの骨髄を採取し、骨髄細胞をGM-CSF存在下で培養することで、樹状細胞を分化誘導させた。そして、培養して得られた樹状細胞(5×10^6)を5-chloromethylfluorescein diacetate(CMFDA)で蛍光標識し、TNCB塗布24時間後のマウスに静脈注射した一部のマスには、樹状細胞の静脈注射24時間前に、抗マウス血小板ポリクローナル抗体ウサギ血清0.1ml/匹を筋肉内注射またはノイラミニダーゼ(Type VI)0.05U/匹を腹腔内注射することによって、末梢血の血小板数を約10%まで著しく減少させておいた。樹状細胞を静脈注射して、その6時間後に耳介皮膚を採取し、4%パラホルムアルデヒドで固定した。そして、OCTコンパウンドで包埋した後、凍結切片を作成し、蛍光顕微鏡を用いて観察した。血小板減少マウスでは皮膚組織でのMPDAで標識した樹状細胞数はコントロールマウスに比べて有意に減少していた。そして、樹状細胞の静脈注射20分前に、血小板減少マウスに血小板を静脈注射して補うことにより、皮膚組織での樹状細胞数は増加した。また、抗P-セレクチン抗体で処理した血小板またはp-セレクチンノックアウトマウス由来の血小板を血小板減少マウスに静脈注射した場合には皮膚組織入の樹状細胞数の増大は認められなかった。この研究結果より、血小板は、循環血中でのp-セレクチンを介した樹状細胞との複合体のを介して循環血中から皮膚組織への樹状細胞の遊走動態に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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