2008 Fiscal Year Annual Research Report
成体マウス毛包幹細胞を用いた発毛再生とWntの役割
Project/Area Number |
20790812
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
王寺 幸輝 Nara Medical University, 医学部, 助教 (50343421)
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Keywords | Wnt / 再生医学 / 毛包 / 細胞 / 皮膚 / b-catenin |
Research Abstract |
近年、種々の組織に存在する多能性組織幹細胞を利用した再生医療が注目されている。皮膚および毛包に存在する毛包幹細胞(hair follicle stem cell : HFSC)は、創傷治癒や熱傷、脱毛症といった疾病に利用できるソースとして注目されつつある。しかしながら、HFSCについての研究はまだ十分とはいえないため、本研究では、HFSCのキャラクタリゼーションおよび分化メカニズムの解明を目的とし、特に我々が最近注目しているWntシグナルを中心に解析を進めた。 まず、マウスの背部皮膚組織より上皮細胞を単離し、さらにCD34, CD49fの染色後、FACSによりCD34+, CD49f+分画のソーティングを行い、HFSCの単離を行った。HFSCは、CD34、CD49fの発現はもとより、未分化関連転写因子の発現を認め、その多分化能が維持されていることが明らかとなった。次に、in vitroでのHFSCに対するWntファミリーの影響を調べた。上皮細胞無血清培養液を基本培地とし、Wnt-3a、Wnt-5a、Wnt-10b、Wnt-11組換えタンパクを添加し、培養を行った結果、HFSCの細胞増殖は、Wnt-3a添加培養で、コントロールに比べ有意な増殖の亢進を認めた。一方で、Wnt-10b添加培養では、顕著な増殖の抑制と形態変化を認め、これらの制御はcanonical pathwayを介したシグナルによるものであり、HFSCに対しWntファミリーは特異的に増殖・分化促進を制御していると考えられた。これらの情報をもとに、HFSCの分化・増殖を制御できる因子の同定およびin vivoへの応用を来年度継続して行ってゆく予定である。
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