2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト頭部皮膚由来毛包幹細胞を用いた神経障害を伴う損傷皮膚の再生
Project/Area Number |
20790814
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
天羽 康之 Kitasato University, 医学部, 助教 (10306540)
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Keywords | 幹細胞 / 再生医療 / 毛包 / 末梢神経 |
Research Abstract |
我々は、今までの実験で神経系幹細胞の重要なマーカーとなるclass VI中間径フィラメントnestin遺伝子のプロモーターを用いたGFP遺伝子導入トランスジェニックマウスを作成し、皮膚毛包幹細胞にnestinが強発現していることを見い出し、皮膚毛包から摘出した毛包幹細胞が神経細胞・グリア細胞・角化細胞等に分化することを明らかにした。また、毛包幹細胞をマウスの切断坐骨神経及び脛骨神経間へ移植した場合、末梢有髄神経の再生を確認した。さらに脊髄損傷部への毛包幹細胞移植により、運動機能を改善することも確認した。これらの事実から、多分化能を有する毛包幹細胞の再生医療への応用の可能性が示唆された。 今回の研究期間の実験では、ヒト頭部毛包における毛包幹細胞の分布を検討し、ヒトの頭部毛包における毛包幹細胞もマウスと同様の分布を示すことを明らかにした。ヒト毛包から分離したネスチンを強く発現する毛包幹細胞は神経細胞、グリア細胞、ケラチノサイト、平滑筋細胞に分化した。さらに、多分化能を有するヒト頭部皮膚由来毛包幹細胞をマウスの切断また挫滅した坐骨神経間に移植したところ移植しないものがグリア瘢痕となって軸索がほとんど再生しないのと比較して有意に損傷部の軸索再生が促進されることを確認した。今回の我々の研究成果から毛包幹細胞が損傷末梢神経の再生に有用である可能性が示唆された。
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