2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト頭部皮膚由来毛包幹細胞を用いた神経障害を伴う損傷皮膚の再生
Project/Area Number |
20790814
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
天羽 康之 北里大学, 医学部, 講師 (10306540)
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Keywords | 幹細胞 / 再生医療 / 毛包 / 末梢神経 |
Research Abstract |
我々は今までの実験で、神経系幹細胞の重要なマーカーであるclass VI中間径フィラメントのネスチン遺伝子のプロモーターを用いたGFP遺伝子導入トランスジェニックマウスを作成し、皮膚毛包幹細胞にネスチンが強発現していることを見い出し、皮膚毛包から摘出した毛包幹細胞が神経細胞・グリア細胞・角化細胞等に分化することを明らかにした。また、毛包幹細胞をマウスの切断坐骨神経及び脛骨神経間へ移植した場合、末梢有髄神経の再生を確認した。さらに脊髄損傷部への毛包幹細胞移植により、運動機能を改善することも確認した。これらの事実から、多分化能を有する毛包幹細胞の再生医療への応用の可能性が示唆された。 今回の研究期間の実験では、ヒト頭部毛包における毛包幹細胞の分布を検討し、ヒトの頭部毛包における毛包幹細胞もマウスと同様の分布を示すことを明らかにした。ヒト毛包から分離したネスチンを強く発現する毛包幹細胞は神経細胞、グリア細胞、ケラチノサイト、平滑筋細胞に分化した。さらに、今年度には、多分化能を有する毛包幹細胞を有するヒト頭部皮膚由来毛包幹細胞領域を、培養することなく直接マウスの切断した坐骨神経間に移植したところ、移植しないものがグリア瘢痕となって軸索がほとんど再生、しないのと地較して有意に損傷部の軸索再生が促進されることを確認した。今回の我々の研究成果は、幹、細胞移植で最も重大な問題となる幹細胞の培養期間を必要としないことから、より臨床応用に近い成果と考えられた。現在、毛包幹細胞を培養皮膚に組み込んで皮膚移植を行う実験を進めている。すでに毛包幹細胞を組み込んだ培養皮膚が皮膚生着能力を有することを明らかにした。現在、毛包幹細胞が皮膚の感覚神経や運動神経等の損傷末梢神経の再生に有用である可能性を引き続き検討中である。
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