2008 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤性過敏症症候群における制御性Tリンパ球の機能解析
Project/Area Number |
20790815
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
高橋 良 Kyorin University, 医学部, 助教 (00317091)
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Keywords | regulatory T cell / DIHS / SJS / ホーミング / 皮膚免疫 |
Research Abstract |
薬剤性過敏症症候群(Drug-induced Hypersensitivity Syndrome : DIHS)ではヘルペスウィルスの再活性化が頻繁に見いだされ、さらに再活性化の続発症としていくつかの自己免疫疾患が生ずることが知られている。これは、これらの病態で生ずる全身の免疫システムの変調が、その後に続くウィルスの再活性化と自己免疫疾患の発症をもたらす可能性を示しているが、どのような機序で発生するのかは明らかになっていない。我々は免疫調和を司るCD25++Foxp3+制御性T細胞(regulatory Toell : Treg)に着目し、DIHSおよび対象疾患として重症薬疹のStevens-Johnson Syndrome(SJS)、そして健常人の末梢血リンパ球を用いてCD4+T細胞におけるTregの頻度をFACSで調べた。その結果、Tregが、ヘルペス属ウィルスの再活性化が後に確認された急性期のDIHS患者末梢血中で健常人と比較して有意に増加している特徴的な所見を得た。さらにDIHS急性期のTregにおける皮膚ホーミング関連分子(E-セレクチンリガンド(ESL)およびCCR4)の発現を調べてみると、増加していた大部分のTregにESLとCCR4が有意に発現している特徴的な所見を得た。このTregの増加は、回復期になると健常人と変わらない値に戻った。一方、ヘルペス属ウィルスの再活性化を後に確認できなかったSJSでは急性期および回復期のいずれの時期でもTregの割合及び皮膚ホーミング関連分子の発現に変化が見られなかった。すなわち、DIHS急性期のTregは、極めて皮膚へ行きやすいフェノタイプという事が判った。次に、DIHSおよびSJSのTregが持つ細胞増殖の抑制機能について、トリチウム-サイミジンup-takeにて調査した。Tregが増加しているDIHS急性期のTregは、健常人とほぼ変わらない抑制機能を持っていたが、驚いた事に回復期の抑制機能は有意に失われている事が新たに判った。面白い事に、SJSではDIHSとは全く正反対の態度を示し、急性期のTregは抑制機能が有意に失われている事に対し、回復期では抑制機能が回復している事が判った。 これらの結果は、DIHS急性期では皮膚にホーミングする能力を有するTregの著しい増加が、DIHSで見られるヘルペス属ウィルスの再活性化を引き起こし、さらにDIHS回復期ではTregのfunotionが失われる事から、DIHSの続発症としてみられる自己免疫疾患の発症の原因になりうることが示唆された。
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Research Products
(4 results)