2009 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤性過敏症症候群における制御性Tリンパ球の機能解析
Project/Area Number |
20790815
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
高橋 良 Kyorin University, 医学部, 助教 (00317091)
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Keywords | regulatory T cell / DIHS / SJS / ホーミング / 皮膚免疫 |
Research Abstract |
本年度はDIHSおよび対照疾患としてStevens-Johnson Syndrome(SJS)患者末梢血中のCD25^<++>Foxp3^+制御性T細胞(regulatory T cell: Treg)の細胞増殖に対する抑制機能を測定した。急性期DIHSでは機能が保持されていたが、回復期では機能不全になっていた。一方、SJSではDIHSとは反対に、急性期では機能不全になっており、回復期では機能を有した。さらに薬疹の原因薬で刺激後、T細胞から産生されるサイトカイン産生に対するTregの抑制機能を測定してみると、DIHS急性期の末梢血単核細胞(PBMC)からTregを除くと、T細胞からのサイトカイン産生が増加した。一方、DIHS回復期では、サイトカイン産生の変化は見られなかった。同様に、急性期SJSのPBMCを用いた実験では、サイトカイン産生の変化は見られなかった。すなわち、Tregのサイトカイン産生に対する抑制機能も、DIHS急性期では保持しているが回復期で機能不全になる、SJS急性期では機能不全になり、回復期では機能を保持しているという特徴的な結果を得た。また、テグレトール等の原因薬でDIHS急性期のPBMCを刺激すると、培養5日目でCD25++Foxp3+Treg細胞が増加した。この現象はDIHS急性期でTregが増加している事と一致した。以上の結果から、DIHS急性期の皮膚症状がSJSと比較して重篤では無いのは、抑制機能を有するTregが皮膚ヘホーミングし、薬剤に反応するエフェクターT細胞を押さえている結果だと考えられた。また、潜在性ウィルスを抑制しているウィルス特異的なT細胞までを抑制し、その結果ヘルペスウィルスの再活性化が起こることも推測された。DIHS回復期ではTregの機能不全が長く続き、その結果自己免疫性疾患を発症することが示唆された。一方、SJSではTreg機能不全の為、薬剤に反応するエフェクターT細胞がよりアクティブに活躍し、DIHSと比較して激しい症状を呈することが示唆された。なお、本研究の結果を論文として公表した(The Journal of Immunology,2009,8071)
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Research Products
(2 results)