2009 Fiscal Year Annual Research Report
各種皮膚疾患における培養困難微生物を含む微生物叢の網羅的解析
Project/Area Number |
20790816
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
出来尾 格 Shimane University, 医学部, 講師 (80338128)
|
Keywords | 皮膚感染症 / 微生物ゲノム / 皮膚科学 |
Research Abstract |
本研究は、常在微生物の関与が臨床的に疑われる各種皮膚疾患のサンプルについて、培養法・分子生物学的手法による解析を行うものである。当初本研究は慶應義塾大学医学部で遂行される計画であったが、研究代表者の転勤により平成20年4月より島根大学医学部で遂行されることとなった。そのため慶應義塾大学における研究設備が使用できず、島根大学医学部に研究設備の立ち上げを行ったため、研究計画に若干の遅れを生じた。また島根大学医学部で所有していない嫌気培養器を購入する必要が生じた。平成20年度はまず、ヒト皮膚の常在好気性細菌・常在嫌気性細菌・常在真菌を培養法により網羅的に解析するための嫌気培養器などの設備の購入と設定を行い、さらに培地の選択と購入・試験解析を行った。さらに分子生物学的解析を行うためのサンプルの蓄積を行った。 平成21年度は、分子生物学的解析に必要なサンプル破砕法の検討を行った。近年のメタゲノム解析の流れを受け、できるだけゲノムDNAの損傷が少なくメタゲノム解析にも応用可能な破砕法を検討した。従来利用されている破砕法の中から、試薬・酵素のみを利用しDNA損傷が少なくて済む数種類の手法を選び、これらを組み合わせることにより細菌・真菌の細胞壁が等しく破砕されることを目指した。残念ながらこのような手法は頻用されている試薬では不可能であることが判明したが、いくつかの入手の難しい酵素を使用することで目的を達成できる可能性が示された。これについて、英国で開催された微生物学の学会で発表した。また、皮表環境の評価の観点で本研究が有用と思われたため、アトピー性皮膚炎における角層サイトカインの検出に関連した発表にて、本研究に関連する共同発表を行った。
|