2008 Fiscal Year Annual Research Report
治療抵抗性統合失調症動物モデルにおける電気けいれん療法の作用機序に関する検討
Project/Area Number |
20790826
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 侯輝 Hokkaido University, 北海道大学病院, 医員 (40455663)
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Keywords | 電気痙攣療法 / 統合失調症 / 覚醒剤動物モデル / MK-801 |
Research Abstract |
平成20年度に予定していた行動科学的検討を行うにあたり、まず電気痙攣療法(ECT)の電気刺激の設定を行った。海外の文献などから周波数150Hz、波長0.9ms、通電時間1sec、電流90mAの設定から開始したが、有効な痙攣誘発に至らないことなどが多く、最終的に周波数50Hz、波長1.0ms、通電時間1.0上の変化が少なかったため、濃度展開をした上で投与経路も腹腔内、皮下投与のそれぞれを検討し、最終的に0.15mg/kgを皮下投与することとした。その後平成20年度に予定していた行動科学的検討の中の運動量の亢進に関して検討を行ったが、MK-801に対する移所運動量は、ECT処置群の方がコントロール群と比較して大きく亢進し、予想と異なる結果となった。そのためECTの回数を14回に増やし、処置後1週、2週、4週、6週と同量のMK-801を反復して投与して検討したところ、上述したECT処置群のMK-801に対する行動上の過感受性は認められず、またコントロール群の総運動量でMK-801に対する行動上の逆耐性現象が形成されていたが、ECT処置群では形成されなかった。さらに、この逆耐性現象の抑制効果は、処置後6週程度で消失していた。少ない回数でECTがMK-801に対する行動上の過感受性を誘発するメカニズムは不明であるが、日常の臨床ではECTによって脱抑制を呈することがあり、その関与が考えられた。また本実験結果では、ECTの回数を増すと処置後6週程度の期間はMK-801に対する逆耐性現象を抑制する可能性があることがわかった。このことから統合失調症の治療抵抗性の病態にECTが何らかの改善効果をもたらす可能性が考えられた。
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Research Products
(2 results)