2009 Fiscal Year Annual Research Report
治療抵抗性統合失調症動物モデルにおける電気けいれん療法の作用機序に関する検討
Project/Area Number |
20790826
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 侯輝 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 助教 (40455663)
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Keywords | 統合失調症 / 覚醒剤動物モデル / 電気痙攣療法 / 逆耐性現象 / プレパルスインヒビション |
Research Abstract |
平成20年度の行動実験の結果では、電気痙攣療法(ECT)処置が5回である場合、予想に反してMK-801に対する移所運動量はECT処置群の方がコントロール群よりも大きく亢進し、ECT処置を14回に増加した際にはMK-801の行動上の逆耐性現象が阻止されたことを考慮し、平成20年度に予定していた驚愕反応抑制(prepulse inhibition : PPI)の障害に関する検討に関しては、ECTを13回に、また薬休時間を48時間に延長して行った。その結果、%PPIにおいては68dBでECTがMETH誘発性のPPI障害を改善することがわかった。しかし、71dBではECTの効果は認められず、METH誘発性のPPI障害がECT処置群、非処置群の両群で認められていた。このことは、ECTの反復処置によって、METH誘発性の行動障害が部分的に阻止される可能性を示唆する。またラットの行動上の変化に関して、平成20年度の実験結果からMK-801誘発性の行動変化は認められなかったことから、これを覚醒剤(methamphetamine : METH)に変更し、同様にECT処置回数と休薬時間を延長して検討した。その結果、ECT反復処置群では、METH誘発性の異常行動を軽度改善することがわかった。この結果は、ECT反復によって覚醒剤誘発性の行動異常を改善する可能性を示唆し、先程のPPI障害の改善を考慮すると、ECTは覚醒剤誘発性の様々な異常行動を、可塑的変化を阻止する可能性を示唆する。従来から覚醒剤動物モデルは、統合失調症の縦断モデル、治療反応性モデルといわれている。覚醒剤によって誘発される様々な脳内の変化をECTが阻止することを考慮すると、ECTが統合失調症の病態進行を阻止する可能性があるのではないかと考えられる。
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