2008 Fiscal Year Annual Research Report
気分障害の時間生物学的治療とその作用機序に関する研究
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20790828
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
越前屋 勝 Akita University, 医学部, 講師 (60420056)
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Keywords | うつ病エピソード / 薬剤抵抗性 / 断眠療法 / 睡眠位相前進 / 高照度光療法 / HAM-D / VAS / SDS |
Research Abstract |
うつ病エピソードの患者8名(男性6名、女性2名 ; 単極性6名、双極性2名)を研究プロトコールに導入した。平均年齢40.4±13.1歳、平均発症年齢35.1±15.4歳、現在のうつ病エピソードの平均期間18.5±21.8週間、これまでのうつ病エピソードの平均回数5.4±3.3回、全罹病期間の平均70.3±50.6ヶ月、ベースライン(day-1)のHAM-D score(17項目)平均19.0±4.2点であった。対象者金員が抗うつ薬およびベンゾジアゼピン系薬物を服用していた。他に、炭酸リチウムを2名、抗精神病薬を2名、甲状腺ホルモン剤を2名が服用していた。薬剤抵抗性について、ThaseとRushの基準に当てはめると1名がStae II、6名がStae III、1名がStage IVであった。治療前後のHAM-D(6項目)得点推移に有意な低下がみられた(df=9, F=6.30, p<0.0001)。ベースライン(day-1)と比較して統計的有意差(p<0.05)を認めたのはday2、day3、day4、day5、day6であった。治療前後のHAM-D(17項目)得点推移に有意な低下がみられた(df=3, F=22.65, p<0.0001)。ベースライン(day-1)と比してday6、day13 day20で統計的有意差(p<0.05)を認めた。HAM-D得点改善率50%以上をResponse、50%未満への逆戻りをRelabseと定義すると、8名中7名がday6でResponse、そのうち1名がday13でRelapseとなった。8名中1名がday13でResponseとなった。最終的(day20)に8名中7名がResponseを維持した。治療中断例はなかった。治療前後のVAS得点推移に有意な改善がみられた(df=7, F=3.76, p=0.0021)。ベースライン(day-1)と比較してday3、day4、day5、day6で統計的有意差(p<0、05)を認めた。治療前後のSDS得点推移に有意な改善がみられた(df=9, F=2.59, p=0.0124)。ベースライン(day-1)と比較してday3、day4、day6、day13、day20で統計的有意差(p<0.05)を認めた。 本研究では、薬剤抵抗性、遷延性、反復性、難治性といった特徴を有する大うつ病エピソード患者において全断眠とそれに睡眠位相前進および高照度光療法を併用した治療を行い、他覚的評価、自覚的評価ともに有意な改善を示した。明らかな有害事象も認められず、有効性および安全性の高い治療と考えられた。
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Research Products
(1 results)