2009 Fiscal Year Annual Research Report
事象関連電位(ガンマ帯域解析)による統合失調症のセルフモニタリング異常の検討
Project/Area Number |
20790832
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒木 剛 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 講師 (00456120)
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Keywords | 統合失調症 / 事象関連電位 / 脳波 |
Research Abstract |
本研究では統合失調症患者におけるセルフモニタリング異常に関して事象関連電位を用いて検証した。セルフモニタリングを反映する課題としては、最終的には注意や動機づけの影響を受けにくく、再現性も高く、被験者に対する侵襲性も低めであり、乳幼児から老人まで幅広い年齢層に施行可能な課題である標準的な聴覚MMN課題を用いることとした。MMNは自動的な刺激変化の検出機能を反映しており、事象関連電位成分の中でも、特に統合失調症患者に特異的に異常を示すことが報告されている。また、発生源が聴覚皮質に限局しており、グルタミン酸神経伝達、特にMNDA受容体と関連することが報告されている。本研究では統合失調症患者において、前駆期、初発期、慢性期患者においてMMNを測定し、それぞれを比較した。健常被験者に比して、前駆期や初発期では、MMN振幅減衰が観察されるが、統計的な有意差までは認めなかった。また慢性期では有意な振幅減衰が観察された。これらより、MMN成分が統合失調症の進行性の病態変化を反映しうるバイオマーカーであることが明らかとなった。これらは国内学会、国際学会にて発表を行っており、また図書や論文として報告も行った。現在、英文論文の投稿準備中である。 また、さらなる研究につなげるために、現在は、縦断的研究を開始しており、本研究最終年度の後半には、初回測定から1年後の縦断的測定が行われた症例がでている。まだ十分な症例数がないため、解析には至っていない。本研究では、てんかん患者に対して、頭蓋内電極を用いて、同じく事象関連電位測定を行う予定であったが、現在、データとして解析可能な症例は2症例のみであり、まだ十分な解析ができていない。今後、引き続き頭蓋内電極を用いた研究も並行して行っていく予定である。
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