2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20790834
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
福島 菜奈恵 Shinshu University, 医学部, 助教 (90334888)
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Keywords | 神経科学 / ストレス |
Research Abstract |
新生児期に母ラットから一定時間繰り返し隔離したラット(PTSDモデルラット)を使用し、隔離によるストレスが脳に与える影響について検証するために、免疫組織学的な手法により、脳内の新生細胞の生存について調べた。生後3日目の仔ラット腹腔内へのBromodeoxyuridin(BrdU)投与により新生細胞を標識し、生後4日目から10日間にわたり毎日6時間の隔離ストレスを与えた。生後31日目(BrdU投与4週後)に固定液を用いて還流固定後、脳を取り出し、海馬(前額断)と嗅球(矢状断)から5μmのパラフィン切片を作成した。抗BrdU抗体を用いた免疫染色後にBrdU陽性細胞数を計測した結果、海馬歯状回における単位面積(1mm^2)当たりのBrdU陽性細胞数は、コントロール群で305±55(オス)/267±41(メス)、ストレス群で230±36(オス)/299±46(メス)であった。コントロール群を100%とすると、ストレス群では75%(オス)/112%(メス)で、オスでは新生細胞の明らかな減少が確認された。嗅球傍糸球体細胞層・顆粒細胞層では、コントロール群で241±61・100±28(オス)/279±82・118±53(メス)、ストレス群で180±40・74±27(オス)/250±62・102±35(メス)で、ストレス群では75%・74%(オス)/90%・86%(メス)に減少していた。オスではメスよりも減少率が高いことから、隔離ストレスの影響には性差があると考えられた。しかし、今年度に行った実験結果において隔離ストレスによる新生細胞の明らかな減少が確認されたにもかかわらず、統計学的な有意差は検出できなかった。これは、実験開始時(生後3日目)における体格のばらつきによる影響が大きく、実験開始時の体重をそろえる必要性を認めたため、その点を改善し引き続き実験を行うこととした。
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