2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20790834
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
福島 菜奈恵 Shinshu University, 医学部, 助教 (90334888)
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Keywords | 神経科学 / ストレス |
Research Abstract |
昨年度の実験では、新生児期に母親から一定時間繰り返し隔離したPTSDモデルラット(10日間にわたり毎日6時間隔離)の海馬・嗅球において、特に雄で新生細胞の生存が74~75%に減少していたが、統計的な有意差は検出できなかった。実験開始時の体格差(体重3.5g~7.8g)によるデータのばらつきが原因と考えられたため、それを考慮し新たに実験を行った(開始時体重3.7g~4.6g)が、今度は実験終了時の体重に有意差が生じてしまった(対照群50±2g(雄)・52±2g(雌)、ストレス群45±1g(雄)・43±1g(雌))。原因として長時間隔離による栄養不良が疑われたため、隔離時間を分けて(10日間にわたり毎日3時間隔離を2回)再度実験を行った。実験終了時の体重は対照群62±2g(雄)・57±2g(雌)、ストレス群59±2g(雄)・56±1g(雌)で、有意差は認められかった。単位面積(1mm^2)当たりの新生細胞数は、海馬歯状回では対照群234±32(雄)・190±25(雌)、ストレス群197±14(雄)・212±33(雌)で、対照群を100%とすると、ストレス群では84%(雄)/111%(雌)と、雄では新生細胞が減少していた。嗅球傍糸球体細胞層・顆粒細胞層では対照群91±12・25±5(雄)/92±20・29±8(雌)、ストレス群77±10・25±12(雄)/82±13・25±4(雌)で、ストレス群では85%・102%(雄)/89%・87%/(雌)に減少していた。しかし海馬・嗅球ともに、統計的な有意差は検出できなかった。今回の実験では6時間連続で隔離した場合よりも新生細胞の減少率が少なかったことから、隔離ストレスだけでなく栄養状態もまた脳内の新生細胞の生存に影響を与えること、海馬においてはその影響に性差が存在することが考えられた。
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