2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20790841
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡田 剛 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10457286)
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Keywords | うつ病 / 潜在性脳梗塞 / fMRI / 言語流暢性課題 / 前頭前野 |
Research Abstract |
血管性うつ病の病態解明および, 脳画像を補助診断や治療法の選択等に臨床応用する糸口を見出すことを目的として、DSM-IVで大うつ病性障害の診断基準をみたし寛解に至ったうつ病患者および年齢・性別をマッチングさせた精神疾患の既往のない健常対照者を対象に言語流暢性課題遂行中の脳活動をfMRIで測定し、患者群を潜在性脳梗塞のある群とない群にわけて解析を行った。 その結果、健常者群、患者群ともに言語流暢性課題遂行中に左前頭前野で有意な賦活を認めた。健常者群では、これらの領域に加えて帯状回前部や視床において有意な賦活がみられたが、患者群ではみられなかった。また、両群の直接比較においては、患者群で、健常者群と比較して左前頭前野の一部で信号上昇の程度が有意に低かった。これらの結果から、うつ病患者では言語流暢性課題遂行中に賦活される左前頭前野や帯状回前部の機能が寛解期にも十分改善していないことが示唆された。このことは、寛解期における継続療法の必要性を示唆するもので臨床的にも意義のある研究結果と考えられた。しかし、今回患者群の中で潜在性脳梗塞を認めた者は少数であったため、潜在性脳梗塞がうつ病患者の認知機能や脳機能に与える影響については、現時点で統計的解析結果を出すことはできなかった。次年度も症例数を増やして研究を継続し、潜在性脳梗塞がうつ病患者の認知機能や脳活動に与える影響について引き続き検討し、血管性うつ病の病態解明を目指していく予定である。
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