2010 Fiscal Year Annual Research Report
うつ病における認知障害メカニズムと認知行動療法に関する脳機能画像研究
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20790843
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小野田 慶一 島根大学, 医学部, 助教 (60432712)
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Keywords | うつ病 / 脳機能画像 / fMRI / 前頭前野 / 前帯状回 |
Research Abstract |
本研究課題では,うつ病における主要な3つの認知障害(自己・世界・将来)をそれぞれに対応した情動的課題を用いて評価した.昨年度までに,自己・世界・将来に対する認知の神経生理学的基盤の解明,うつ病における自己・世界・将来に対する認知障害と脳機能の関連の解明を行い,その成果を国際誌にて発表してきた.本年度では,うつ病に対する集団認知行動療法の実施前後において,認知障害における脳機能の改善の客観的評価を行った.集団認知行動療法により心理社会的な指標には十分な改善が認められた.また,治療前後においてうつ病の認知障害(自己概念に関するバイアス)に特化した課題遂行中の脳活動を機能的磁気共鳴画像(fMRI)にて測定したところ,内側前頭前野において改善がみられた。この知見は,集団認知行動療法の効果を客観的に脳機能的観点から示したといえ,うつ病における脳機能は適切な治療により十分に回復する可能性を示唆している。この知見は現在,国際誌にて審査中である。このようなうつ病における前頭葉機能に焦点を当て,その脳活動を測定した知見は研究例が少なく,一致した見解が得られていなかった.そのため,うつ病により特異的な認知の歪みに直結する課題を用いて前頭前野機能を評価する必要があった.うつ病にみられる認知の歪みは,前頭前野の機能障害であり,その障害は適切な治療で改善が見込まれることが本研究課題で示されたと考えられる。
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