2008 Fiscal Year Annual Research Report
精神疾患患者におけるメタボリックシンドロームの病態調査と発症危険因子研究
Project/Area Number |
20790853
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
岸田 郁子 Yokohama City University, 医学研究科, 客員研究員 (60464533)
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Keywords | 精神薬理学 / 薬理遺伝学 |
Research Abstract |
近年、精神疾患患者におけるメタボリックシンドローム(Hetabolic Syndrome : MS)罹患率の高さが問題となっているが、大規模な実態調査はほとんど行われていない。そこで、本年度は精神疾患患者を対象にMSの疫学調査と自律神経活動調査を行うとともに、また、患者群に食事・運動療法を開始した 1. 精神疾患患者におけるMSの疫学調査 対象の統合失調症唐者811名のMSの罹患率は20.6%であり、一般人口におけるMS頻度7.8%(Arai、ら(2005))より高頻度であった。また、男性入院患者のMS罹患率は15.3%に対して、男性外来患者では43.3%がMSの診断基準を満たし、女性入院患者の4.4%と比較して10倍の頻度であった。外来患者では不規則な生活習慣や社会的孤立による医療資源へのアクセス困難などが示唆されており(Newcomer 2007)、MSあるいは予備軍改善のための生活指導の必要性が、特に外来患者において急務であることが示唆された。 2. 精神疾患患者における自律神経活動調査 統合失調症患者174名と、健常成人32名を対象とし、心拍変動パワースペクトル解析により自律神経活動を定量化した。統合失調症群では対照群と比較して総自律神経活動(p=0.021)、交感神経活動(p=0.003)ともに有意に低下していた。自律神経活動の低下は、運動不足や不摂生な生活習慣が関連していることわかっており、MS同様に、患者群で生活指導の必要性が示唆された。 【発表と今後の方針】上記の結果を、国内外の学会発表に発表し、論文作成中である。また、並行して、対象患者のMS関連生理活性物質測定とともに、遺伝子多型の検索を行い、これらの結果を網羅的かつ包括的に解析し、MSの発症危険因子を検討していく予定である
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