2009 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症の神経回路網の機能障害に対する連続経頭蓋磁気刺激の効果の検討
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20790855
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
奥村 匡敏 Wakayama Medical University, 和歌山県立医科大学医学部, 助教 (00464678)
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Keywords | 統合失調症 / 経頭蓋磁気刺激 / 幻聴 / very late onset schizophrenia like psychosis / SPECT / 認知機能 |
Research Abstract |
本研究の主な日的は、脳機能画像研究では幻聴体験時に一致した左側頭頭頂領域で脳磁図にてθ波活動を捕えた先行研究(Ishii R, Shinosaki K, Ukai S et al. 2000)を持つことから、難治性幻聴が持続している統合失調症患者への低頻度rTMSの効果の確認であった。症例は難治性幻聴を呈する62歳女性、very late onset schizophrenia-1ike psychosisの患者である。DSM-IVとMRI所見より認知症は除外し、統合失調症の診断基準を満たした。刺激条件は100%MT,1Hz,10分間の磁気刺激を行った。rTMS前後の評価はSPECT, MT、PPI、Brief Assessment of Cognition in Schizophreniaといった認知機能バッテリーを用いた。刺激前として、SPECTにて、左右側頭頭頂領域の血流増加、基底核の血流低下が確認されていたが、通常行われている左側頭頭頂領域への低頻度rTMSを行ったところ、幻聴のスコア(Hoffman 2003 ; Doane 1985)においても変化はなく、血流変化もなかった。次に、右側頭頭頂領域への低頻度rTMSを行ったところ、左右側頭頭頂領域の血流の減少が確認できた。認知機能のなかで悪化したものはなく、特に運動機能と言語記憶が改善した。薬剤抵抗性のvery late onset schizophrenia-like psychosisであり左右のrTMSを行ったところ、側頭頭頂領域の血流が低下し、認知機能の悪化はなかったことは、メタ解析が示す結果と一致している。通常のrTMSでの改善が見られなかったことと基底核の血流が刺激前に低下していたことは、very late onset schizophrenia like psychosisが若年発症の統合失調症と病態が異なるのではないかと考えている。
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Research Products
(13 results)