2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヘルマンスキー・パドラック症候群合併例からの統合失調症脆弱性決定遺伝子の探索研究
Project/Area Number |
20790857
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
齋藤 淳 Dokkyo Medical University, 医学部, 助教 (00453407)
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Keywords | 脳・神経 / 遺伝子 |
Research Abstract |
我々は、常染色体劣性遺伝形式を取る稀な遺伝性疾患ヘルマンスキー・パドラック症候群と精神疾患である統合失調症との合併例のDNA解析を行った。その結果、ヘルマンスキー・パドラック症候群を引き起こしている可能性が高い、ホモのナンセンス変異をある遺伝子上に発見した。また、同疾患の罹患同胞についても、全く同一の変異を確認した。この変異により、遺伝子産物(タンパク質)が短くなり、重要な機能を失うために、疾患が引き起こされることが想定される。この知見は、本家系のみならず、同疾患に苦しむ方々を救う端緒となりうる重要なものであると考えられる。また、我々はこの遺伝子変異が、本症例の統合失調症発症にも関与しているのではないかとの仮説を持っている。今後は、この遺伝子と精神疾患との関連を見出していくこととなる。そのため、「(1)統合失調症との関連解析」と「(2)タンパク機能解析」が大きな軸となる。現在、当大学倫理委員会にて承認を得た計画に則り、書面による同意を得た上で採取した患者・健常者のDNAサンプルを用いて、当該遺伝子領域のリシークエンシング、-塩基多型(SNP)タイピングを行っている。サンプル数を増やして、患者短対照研究を行う予定である。また、当該遺伝子のcDNAを哺乳類細胞発現プラスミドにつないでクローニングを行った。これを哺乳類細胞にトランスフェクションし、細胞内での局在、機能について調べている。これらの研究を通して、統合失調症をはじめとした精神疾患の病態により迫ることができると考えられる。
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