2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヘルマンスキー・パドラック症候群合併例からの統合失調症脆弱性決定遺伝子の探索研究
Project/Area Number |
20790857
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
齋藤 淳 獨協医科大学, 医学部, 助教 (00453407)
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Keywords | 脳・神経 / 遺伝子 / 統合失調症 / ヘルマンスキー・パドラック症候群 |
Research Abstract |
我々は稀な遺伝性疾患であるヘルマンスキー・パドラック症候群(HPS)と精神疾患を合併している自験家系を糸口にして、統合失調症とHPSの病態に共通の機序を持つ関連遺伝子を患者対照研究において解析を進めている。平成21年度までに、この自験家系の構成員全員から同意を得て採血し、この家系のHPSの原因となる遺伝子の変異を同定した。HPS関連遺伝子の中には、統合失調症を始めとした精神疾患との関連が示唆されるHPS7(=dysbindin)も存在し、これら遺伝子群と精神疾患との関連について注目が集まっている。平成22年度は、書面による同意を得た一般の統合失調症患者約420名と健常対照者約580名の末梢血DNA用い、関連解析を行った。その結果、当該遺伝子上の一塩基多型(SNP)の頻度に有意な差を見出した。ここまでの結果については、北米神経科学大会等で示説を行った。また、このSNPの生物学的意義を見出すため、Brief Assessment of Cognition in Schizophrenia(BACS)成績と多型、mRNA発現量と多型との関連について検討を行った。ここまでの結果について、現在論文化を進めている。当該遺伝子の機能解析の第一歩として、当該遺伝子(正常型とおよびHPSでみられる変異型)のopen reading frameを、単体および緑色蛍光タンパク(GFP)等のタグを融合させた形で発現できるようクローニングを行い、細胞内動態等について検討を進めている。また、当該タンパクのbinding partnerを明らかにするため、イースト・ツーハイブリッド法による解析も進めている。当該遺伝子の機能変化が神経系の発達や機能にどのような影響を与えるかを明らかにすることにより、統合失調症の成因ひいては脳機能そのものについても、新しい知見を得ることが期待される。
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