2010 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症の病因としてのゲノム不安定性とインプリンティングの解明
Project/Area Number |
20790859
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
上野 美華子 帝京大学, 医学部, 研究員 (00398736)
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Keywords | 統合失調症 / ゲノム不安定性 / L1 / Alu / インプリンティング / de novo変異 / FISH法 / コーミングDNA |
Research Abstract |
統合失調症患者ゲノムの特徴として、染色体脆弱性、リピート多型、そしてコピー数多型などが報告されている。これらのゲノム不安定性を引き起こす要因として転移因子の活性化が考えられることから、われわれは、転移因子によるゲノム不安定性が統合失調症の病因であるとの仮説を提唱した。これまでに、転移因子の患者特異的な変異を探索し、統合失調症特異的な挿入変異領域を同定してきた。さらに、本研究では転移因子のゲノムインプリンティングの性質に注目し、メチル化抑制を受ける親が異なる転移因子ごとに、de novo挿入変異の同定を試み、統合失調症におけるゲノム不安定性をゲノムインプリンティングの観点から多角的に解明することを目的とした。 これまでに、転移因子L1の挿入領域について、網羅的スクリーニング法の開発を試みた。統合失調症トリオおよび対照トリオについて、L1特異的プライマーを用いたPCR-アレイCGH法による解析を行い、患者特異的な変異領域、すなわち候補遺伝子領域を同定した。本年度は引き続き、コーミングDNAを用いた多色FISH法の最適化を試み、候補領域におけるL1を介した変異解析をおこなった。さらに、L1に加え、既に候補遺伝子領域を同定しているAluについても検討した。 FISH法による解析の結果、候補遺伝子領域におけるL1配列およびAlu配列をドット状のシグナルとしてそれぞれ検出することができた。また、L1とAluのシグナルは重なることがなかったことから、完全なDNAの1分子解析に成功した。さらに、L1およびAluともにde novo変異が確認された。以上のことから、本研究では2種類の解析法によって転移因子の患者特異的な変異が確認され、転移因子の動態が疾患へ寄与していることが推察された。さらに、転移因子ごとに異なる動態を示したことから、由来する親によって変異の傾向が異なる可能性も示唆された。
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Research Products
(3 results)