2009 Fiscal Year Annual Research Report
臨床研究への橋渡しを目指した双極性障害モデル動物の行動生理学的・分子生物学的解析
Project/Area Number |
20790864
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
笠原 和起 The Institute of Physical and Chemical Research, 精神疾患動態研究チーム, 副チームリーダー (50344031)
|
Keywords | 双極性障害 / 気分障害 / ミトコンドリア / 遺伝子改変マウス / ウォルフラム症候群 / メラトニン / リチウム / 光マスキング |
Research Abstract |
申請者はこれまでに、双極性障害のミトコンドリア機能障害仮説に基づき、双極性障害のモデル動物(トランスジェニック(Tg)マウス)を作製した。その次のステップとして、臨床レベルで疾患の究明、および創薬等、新しい治療法の開発につながるよう、本研究では以下の研究を実施した。 1. 複数の遺伝的要因を持ち合わせた新モデルの開発と分析 Tgマウス(Tg/+)とWFS1遺伝子KOマウス(Wfsl-/-)を掛け合わせた二重変異マウスを前年度に作出し、この新モデルの行動学的解析を行った。その結果、(単純な)Tgマウスの解析を通して明らかにした気分障害様の表現型のうち、日内リズムの異常と光マスキング効果の異常が二重変異マウスでは増悪していた。また、メラトニンを生合成できるマウス系統にバッククロスを開始し、ゲノムの95%以上が目的の遺伝背景になった。この過程において、メラトニン合成酵素遺伝子をクローニングすることができた。 2. 新しい中間表現型の解析 光マスキング効果がTgマウスでは、さらに上述したように二重変異マウスでは減弱していることから、光マスキングに重要な部位である室傍核下部領域(SPZ)やその周辺の神経核の活動性を調べた。具体的には、c-Fosの発現を免疫組織化学法によって調べた。 3. 薬・治療法の効果とメカニズムの検討 研究実施計画に基づき、マウスの健康を損ねることなく、リチウムを長期(2ヶ月間以上)投与し、長期にわたって血中濃度が治療濃度域に達するような投与方法を検討した。塩化リチウムを含む飼料を与えると同時に、塩化ナトリウム水および純水の2本の給水瓶を与えることによって、目的を達成できることを明らかにした。
|
Research Products
(6 results)