2008 Fiscal Year Annual Research Report
Efhe1遺伝子改変マウスを用いた若年性ミオクロニーてんかん発症機序の解明
Project/Area Number |
20790866
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鈴木 俊光 The Institute of Physical and Chemical Research, 神経遺伝研究チーム, 基礎科学特別研究員 (20373318)
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Keywords | 若年性ミオクローヌスてんかん / EFHC1 / ミオクロニー発作 / 痙攣感受性 / 脳室拡大 |
Research Abstract |
若年性ミオクローヌスてんかん(JME)は、思春期(8 20歳)に発症し、ミオクロニー発作、強直間代発作などを特徴とする最も頻度の高い特発性てんかんの一つである。原因となる遺伝子は、複数あることが予想されている。我々は、候補領域の一つである第6番染色体短腕領域6p12から新規の原因遺伝子EFHC1の同定に成功した。メキシコのJME6家系から、それぞれの家系内で連鎖を示す5種類のミスセンス変異を発見している(Suzuki et al. Nat. Genet. 36, 842-849)。EFHC1の疾患変異は、複数のグループより報告が続いており、それらの変異は、JME、若年性欠神てんかん、潜因性の側頭葉てんかん、さらに非分類型の特発性全般てんかんから見いだされた。このことより、EFHC1はJME発症に関与しているだけでなく、特発性全般てんかんの痙攣誘発に広く関与している可能性もでてきている。有効な治療法の開発のためには、疾患成立機序を解明する事が必要であることから、本研究では、遺伝子改変マウスを用いて検証し、脳の内部でどのような細胞機能の異常、神経回路形成の異常、脳の構造異常が起っているのか、また動物の行動異常に結びつくのかを明らかにし、疾患成立機序を解明することを目的としている。本年度は、遺伝子改変マウスで、自然誘発ミオクロニー発作を示すこと、痘撃誘発剤ペンチレンテトラゾル(PTZ)で誘発される発作感受性が高くなっていること、繊毛運動の運動性の低下から脳室拡大が起こることを発見した。これらの成果は、EFHC1遺伝子の異常が確かにてんかんの発症につながることを明らかにするとともに、今後、さらなるてんかんの発症メカニズムの理解、治療法の開発・改良に大きく寄与するものと考えられる。これらの研究成果は学術誌の誌上で発表を行った。
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