2010 Fiscal Year Annual Research Report
プレキシン・セマフォリンの変異解析と精神神経疾患との関連解析
Project/Area Number |
20790870
|
Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
藤井 崇 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所疾病研究第三部, 流動研究員 (10450610)
|
Keywords | 脳神経疾患 / 神経科学 |
Research Abstract |
これまで統合失調症をはじめとした精神疾患の疾患感受性遺伝子、さらにはその機能多型を明らかにする目的で、semaphorinやその受容体であるplexin、neuropilinに着目して解析を進めてきた。そしてアミノ酸置換を伴う28SNPに焦点を絞り、関連解析を進めてきた。最終年度にあたる本年度は、その解析を中心に研究を進め、患者群506人、健常者群941人を対象としてSEMA3Dのアミノ酸置換多型Lys701Gln(rs7800072)のマイナーアリルGln701が、統合失調症の発症に対してプロテクティブな効果を示すという結果を得ることができた(p=0.0069)。さらにこのSEMA3DについてタグSNPを選出し、解析を進めた。その結果4マーカー(rs2190208-rs1029564-rs17159614-rs12176601)によるハプロタイプ解析において、高い関連を得ることができた(p=0.00001、global permutation)。このハプロタイプの組み合わせにはLys701Glnが含まれていないため、SEMA3DにはLys701Gln以外にも統合失調症の発症にかかわる機能多型が存在することを示唆された。これらの成果はJ Psychiatr Res.2011 Jan;45(1):47-53.にて筆頭著者として発表した。SEMA3Dと統合失調症との関連を示したのは本研究が初めてであり、今後もsemaphorin-plexinシグナル系に着目して解析を行うことで、精神疾患のメカニズム解明に迫っていけるものと期待する。
|