2009 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドロームにおける冠血管内皮機能障害の評価と有効な治療法の確立
Project/Area Number |
20790871
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
納谷 昌直 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 非常勤講師 (20455637)
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Keywords | 核医学(PETを含む) / メタボリックシンドローム / 冠血管予備能 |
Research Abstract |
[目的]冠血流予備能と冠動脈硬化プラークの形状および性状との関連を調べること。 [背景]動脈硬化の狭窄度や病変長および冠危険因子によって引き起こされる冠微小循環障害が、冠血流予備能の低下に影響を与える。心臓CTにて冠動脈硬化の形状および性状の詳細な評価が得られる。 [方法]本研究では73名の冠動脈疾患が疑われる平均BMI30.8の肥満者を対象とした。^<82>ルビジウムPETを用いてATP投与時と安静時における冠動脈支配領域毎の心筋血流量を非侵襲的かつ定量的に測定し、それらの比より冠血流予備能を求めた。心臓CTを用いて、冠動脈支配領域により左前下行枝、左回旋枝、右冠動脈に分け、総数209本の冠動脈についてその狭窄度、病変長およびプラーク性状を調べた。 [結果]患者別に調べると冠動脈病変を有する患者の左室全体の冠血流予備能は病変がないものと比較して有意に低下していた(2.07±0.71 vs. 2.67±0.92, P<0.01)。冠動脈別に調べると103枝(49%)は動脈硬化性病変なし、68枝(33%)に1-49%の軽度狭窄病変、38枝(18%)に50%以上の有意狭窄病変を認めた。単変量解析にて冠血管予備能は狭窄度と弱い負の相関を認めた(r=0.15,P=0.027)。一方で、病変長、石灰化、非石灰化および混合プラークといったプラーク性状とは相関が見られなかった。 [結論]メタボリック因子を有する肥満者において、動脈硬化性プラーク病変が存在する患者では冠血流予備能が低下していたことから、動脈硬化は冠動脈と微小循環でびまん性に進行するものと考えられる。病変別に調べると器質的な冠動脈硬化の狭窄度やプラークの性状により必ずしも機能的な冠血流予備能を正確に予測できないことから冠動脈患者の機能的重症度評価に心臓PETによる心筋血流の定量評価が有用であると考えられた。
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