2009 Fiscal Year Annual Research Report
ラジオアイソトープ標識ペプチドの腎集積低減法の新規開発
Project/Area Number |
20790882
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
秋澤 宏行 Health Sciences University of Hokkaido, 薬学部, 准教授 (90311795)
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Keywords | がん / アイソトープ内用療法 / 体内動態制御 / 放射性医薬品 / 腎臓 / 刷子縁膜 / 酵素 / ペプチド |
Research Abstract |
ラジオアイソトープ(RI)標識抗体フラグメント・ペプチドを放射性医薬品として用いたがんのアイソトープ治療は、難治性がんの治療に有用であると高く評価されている。しかし、本治療法では、腎臓での非特異的な放射能集積による副作用が問題となる。本研究では、申請者が以前示した戦略(腎臓の刷子縁膜酵素で認識されるペプチド配列を含有するRI標識試薬を用いて標識し、腎臓に取り込まれる前に尿排泄性の放射性代謝物を遊離させることにより、腎放射能レベルを低減する戦略)を応用し、欧米で臨床使用されている放射性医薬品の^<90>Y-DOTA-octreotideをモデルとして、RI標識ペプチドの腎放射能レベルの低減法を新たに開発することを目的とする。 本年度は、腎臓の刷子縁膜酵素の作用で遊離する尿排泄性放射性代謝物として適するRI標識DOTA類似体の設計と合成を行い、また、そのRI標識DOTA類似体を腎刷子縁膜酵素の作用で遊離するペプチドとの結合体の設計と合成を、昨年度の検討結果に基づいて行った。 本研究に対する科学研究費の助成は本年度で終了する。助成期間内に尿排泄性RI標識DOTA類似体とペプチドとの結合体を導入したoctreotideの合成と評価を行うことはできなかったが、今後も検討を継続し、最終目的とする新規RI標識octreotide誘導体の設計につなげ、その合成と評価をすることにより、新しい腎放射能レベルの低減法を開発できるものと考える。したがって、本研究の実施は、難治性がん治療の可能性の向上につながるものであったと考える。
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