2010 Fiscal Year Annual Research Report
樹状細胞免疫療法における細胞導入法に関する実験的研究:生体顕微鏡による動態解析
Project/Area Number |
20790885
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
香田 渉 金沢大学, 附属病院, 助教 (30401920)
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Keywords | 樹状細胞 / 癌 / IVR |
Research Abstract |
本研究課題では、肝癌に対する樹状細胞療法における生体への樹状細胞の導入について、インターベンショナルラジオロジー技術を組み合わせた細胞導入法の有効性を検証することを目的として、実験的検討に取り組んだ。当初、家兎での樹状細胞の精製・培養、細胞標識、そして生体顕微鏡観察による樹状細胞の動態解析を計画したが、実験環境、設備、薬品等の問題により家兎樹状細胞の精製、培養、生体顕微鏡による観察が困難と考えられた。また、その一方で施設に動物実験が可能なMRI装置が導入され、MRIを用いた動物実験を行うことが可能な環境が整った。そこで、ラットを用いて樹状細胞の動態をMRIを用いて観察することにした。 ラット全血を採取後、密度勾配遠心分離にて単球相を回収し、GM-CSF、IL-4を添加した培地で培養することにより樹状細胞を誘導・単離した。この樹状細胞の培養液に超常磁性酸化鉄製剤およびトランフェクション試薬を添加することにより、樹状細胞を磁性的に標識した。その後、ラットを全身麻酔下に開腹し、標識樹状細胞を経門脈的に注入した。その際、標識樹状細胞を単独注入するラットと塞栓物質(リピオドール、ゼラチンスポンジ細片)を併用して標識樹状細胞を注入ラットを設定した。樹状細胞門脈注入後は、経時的にMRI T2強調像、T2^*強調像を撮像し、磁性的に標識された樹状細胞の肝内動態を観察した。その結果、樹状細胞門脈注入直後の標識樹状細胞の分布は、塞栓物質を併用したラットのほうが良好であった。 塞栓物質を併用して経血管的に導入することにより、導入樹状細胞の肝内分布が改善する可能性があることが期待されるが、本研究では対象の数が少ないこと、経動脈的注入ではないことなどから、ただちに臨床的な効果を予測することはできない。今後、数を増やし、経動脈的注入についても評価するが臨床応用を目指す上では必要となる。
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