2009 Fiscal Year Annual Research Report
代謝的多様性に基づくがんの質的核医学診断のための多角的分子イメージング法の開発
Project/Area Number |
20790890
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
天滿 敬 Kyoto University, 薬学研究科, 助教 (90378787)
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Keywords | がんの多様性 / 酸素代謝 / 低酸素 / 分子イメージング |
Research Abstract |
本研究の目的は、ポジトロン断層撮像法(PET)を用いてがんにおける酸素代謝率のインビボ定量測定法を開発するとともに、低酸素誘導因子-1(HIF-1)の低酸素下安定化機構を薬剤設計に応用したがんの生物学的低酸素領域を特異的にイメージングできる薬剤を開発し、両者を組み合わせることで、がんの低酸素領域における多様性をエネルギー代謝の観点から解明することにより臨床診断に展開する基盤を創製することにある。そこで本年度は昨年度に引き続き、がんにおける酸素代謝率の定量に関する基礎検討、および、プレターゲティング法による生物学的低酸素イメージングを実施することにより、がんの質的核医学診断のための新たな分子イメージング法としての有効性を調べることを目的として、以下の課題を遂行した。 1)がんにおける酸素代謝率の定量に関する基礎検討 がんにおける酸素代謝を正確に評価するためには、がんにおける血流を正確に評価することが重要である。そこで、担がん動物のがん移植部位における血流量の差異を調べることを目的に、同一マウスの肩部・腹部・脚部の皮下に腫瘍を移植し、モデル放射性プローブの血流依存性移行について調べた。マウスにはBalb/c slc-nu/nuマウスを、腫瘍細胞にはHela細胞、モデル放射性プローブには脳血流量測定に汎用されるN-isopropyl-p-[^<125>I] iodoamphetamine (IMP)を選択した。^<125>I-IMPを腫瘍マウスに投与し、血流を反映すると考えられる投与5分後に腫瘍を摘出し、単位重量辺りの放射能を調べた。その結果、脚部腫瘍において高い放射能集積が認められたが、部位による影響よりもむしろ、放射能集積と腫瘍の重量との逆相関関係に依るものと考えられた。また、動物における^<15>O-O_2ガス吸入法の定量性評価を目的に、研究代表者が以前に開発した静脈内投与型^<15>O-O_2剤との比較検討をブタを用いて行った。その結果、両手法において定量的な心筋酸素代謝測定が可能であることを示した。 2)プレターゲティング法による生物学的低酸素イメージング検討 担がんマウスにストレプトアビジン化低酸素安定化タンパク質(PCOS)を投与した後、放射性ヨウ素標識ビオチン誘導体(^<123>I-IBB)を投与するインビボプレターゲティング法を用いインビボイメージング法(SPECT法)により生物学的低酸素領域のイメージングに成功した。
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