2009 Fiscal Year Annual Research Report
分子標的薬併用による膵臓癌の放射線治療増感:イメージングを用いた解析
Project/Area Number |
20790892
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
板坂 聡 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (90378654)
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Keywords | 膵癌 / 放射線 / 分子標的 / イメージング / 低酸素 |
Research Abstract |
本研究の目的は難治がんの一つである膵癌に対し分子標的薬剤を併用することによって放射線治療の増感を目指すことであるが、特に光イメージング技術を用い、低酸素に注目した腫瘍内環境の治療に伴う変化の評価も同時に行った。マウス膵癌同所移植モデルを用い、低酸素にて誘導されるHIF-1依存的にアポトーシスを引き起こすPOP-33による治療実験を施行し、POP-33により腫瘍内低酸素が抑制されること、また腹膜播種による腹水生成を抑制し、生存期間延長効果をもたらすことを明らかにした。また、皮下腫瘍モデルに対して放射線治療と血管内皮細胞増殖因子阻害剤による治療を行い、HIF-1活性の光イメージングでみる腫瘍内低酸素を評価すると、血管内皮細胞増殖因子阻害剤にて腫瘍内低酸素が最終的に大きく増加することを明らかにした。またHIF-1活性が高いと血管内皮細胞の放射線抵抗性を増強することによって放射線治療の効果を低減することを明らかにし、この結果からHIF-1活性の光イメージングが放射線治療と分子標的薬剤の最大治療効果を得るための併用タイミングを知るために有用であることが示唆された。これらの実験結果より膵癌の治療において腫瘍内低酸素が非常に重要であることが明らかとなり、特に放射線治療を行う時には腫瘍内低酸素を下げるような治療との併用が有用であることが示唆された。また、血管内皮細胞増殖因子阻害剤と放射線治療の同時併用を膵癌に臨床応用する際には併用のタイミングに留意しなければ治療効果がでない可能性が高いことが本研究より示唆され、臨床においても腫瘍内低酸素を経時的に評価できるイメージングの重要性を明らかにした。
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