2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規腫瘍放射性医薬品としての放射性金属-八臭素化ポルフィリン錯体の開発
Project/Area Number |
20790898
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
北村 陽二 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10368483)
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Keywords | 放射性医薬品 / ポルフィリン / 腫瘍 / 錯体 / 八臭素化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、速やかに金属と錯体を形成する八臭素化ポルフィリンに着目し、放射性金属-八臭素化ポルフィリン錯体(M-OBP)を開発し、腫瘍を標的とする新規放射性医薬品としての可能性を開拓することにある。そのため、本年度は以下の検討を行った。 1. 2種の八臭素化ポルフィリン、正電荷を持つOctabromotetrakis(N-methyl-pyridinium-4-yl)porphine(H_2-OBTM)と負電荷を持つOctabromotetrakis(4-carboxyphenyl)-porphine(H_2-OBTC)、の合成法を確立した。次に、放射性金属を用いた検討に先立ち、非放射性金属を用いて、これらと錯体を形成する至適条件などを検討した。その結果、H_2-OBTMとH_2-OBTCともに、In^<3+>、Zn^<2+>、Mn^<3+>、Co^<3+>やCu^<2+>と、中性付近のpHで、常温で速やかに錯体を形成することを明らかにした。現在、^<111>In等の放射性金属を用いて錯体を合成し、その体内動態や腫瘍への集積性に関する検討を始めている。 2. 上記で合成したM-OBPは、生体内酵素の活性中心と類似構造を持つため、生体内で酵素様触媒機能を示す可能性がある。そこで、M-OBPについて、酵素様機能などの生理活性について検討した。その結果、Mn-OBTMが天然酵素に比肩するペルオキシダーゼ様機能を発揮することを明らかにした。 3. M-OBPと他の物質間に働く相互作用を明らかにするために、M-OBP固定化シリカゲルをカラムに充填し、HPLCの系で検討を行った。その結果、M-OBPの相互作用は従来のポルフィリンとは異なっていることを明らかにした。この結果は、従来の金属ポルフィリンと異なる体内動態や腫瘍への集積性を示す可能性を示唆し、新規放射性医薬品としての発展が期待できる。
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