2008 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸同期照射を視野に入れた、肺癌における4D-CTを用いた標的体積設定法の検討
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20790900
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
斉藤 哲雄 Kumamoto University, 医学部・付属病院, 医員 (30467980)
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Keywords | 肺癌 / 放射線治療 / 呼吸同期照射 / 4D-CT |
Research Abstract |
肺癌の呼吸同期照射では、あらかじめ設定した特定の相のみで照射を行うことにより、照射中の腫瘍の動きを小さくする, 照射野を縮小することで、より安全に線量増加が可能になると考えられ、腫瘍制御の向上につながることが期待される。 呼吸同期照射をどの相で行うべきかについては不明である。呼気では吸気と比べ、腫瘍の動きが小さいことが報告されている。そのため、呼気での同期照射で照射野をより小さくできると考えられる。一方、吸気では肺が膨らむため、より多くの正常肺が照射野の外に外れることとなり、この点では気が有利である。肺癌の9症例について、呼気と吸気の同期照射における正常肺の照射線量を比較した。 呼吸同期照射では、照射を呼吸周期の特定の相のみで行うため、通常の照射より治療時間が長くなる。これは患者の負担となり、治療中の体の動きが増えることで、治療精度の低下につながる。呼気と吸気の同期照射の治療時間を比較した。 同期照射には、振幅による同期と相による同期の2種類がある。振幅による同期では、腹壁の絶対的位置により同期範囲を決定する。呼吸に伴う腹壁の上下の動きの幅において、呼気と吸気で同じ同期幅を設定したところ、呼気より吸気でより低い肺照射線量となった。これは吸気で肺が膨らむことによると考えられた。しかし、吸気での同期では、大幅な治療時間の延長につながった。腹壁の動きは吸気時には急であり、照射可能な時間が短いためと考えられた。 相による同期では、呼吸周期において、同期幅を決定する6時間の長さというかたちで同期幅を設定するので、呼気と吸気を同じ同期幅で比較すると、治療に要する時間は等しくなる。肺照射線量は呼気と吸気で有意差がなかった。吸気時には腫瘍の動きが急であるので、呼気より吸気で照射野が大きくならざるを得なかった。これが吸気時に肺の膨らむ効果を相殺し、呼気と吸気で差が出なかったと考えられる。
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