2009 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸同期照射を視野に入れた、肺癌における4D-CTを用いた標的体積設定法の検討
Project/Area Number |
20790900
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
斉藤 哲雄 Kumamoto University, 医学部附属病院, 医員 (30467980)
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Keywords | 肺癌 / 放射線治療 / 呼吸同期照射 / 4D-CT |
Research Abstract |
肺癌の呼吸同期照射において、同期範囲をどの相でどの程度の長さ設定すべきかは不明である。我々は肺癌の15症例について、呼気と吸気の同期照射における正常肺の照射線量と治療時間を比較した。その結果、相に基づいた呼吸同期では、呼気と吸気は肺照射線量と治療時間のいずれの点でも同等であることが示された。治療計画の点からは呼気と吸気は同等と考えられるが、実際の照射中の腫瘍位置の再現性は呼気の方が高いと考えられる。この点も考慮に入れ、我々は呼吸同期をかけるべきタイミングを呼気に決定した。 続いて、呼気で同期照射を行う場合の最適な同期範囲の広さを、肺線量と治療時間の観点から評価した。肺癌15症例の治療計画を比較した結果、呼吸周期の3/10の長さの同期範囲にて、肺照射線量の十分な低減が可能で、かつ治療時間の延長は許容範囲内であることが示された。以上より、我々は肺癌の呼吸同期照射において、同期をかける相を呼気とし、適当な同期範囲の幅は呼吸周期の3/10であると結論した。 さらに、呼吸同期照射を行うべき症例を選択するための基準を評価した。呼吸同期による肺照射線量低下の大きさと、これを予測するための候補となる因子の関係を解析した。その結果、腫瘍の三次元的な呼吸性移動、腫瘍の頭尾側の呼吸性移動、頭尾側の腫瘍の位置の3つは有用な因子であり、腫瘍径は有用でないことが明らかとなった。三次元的なあるいは頭尾側の腫瘍の動きは非常に正確な予測因子と考えられ、三次元的な呼吸性移動が0.5cm以上あるいは頭尾側の呼吸性移動が0.4cm以上の症例を選んで呼吸同期照射を行うことで、一定の肺線量低減が期待できることが明らかとなった。頭尾側の腫瘍の位置も呼吸同期による肺線量低減を予測するのに有用ではあったが、呼吸性移動(三次天的なあるいは頭尾側の)と比べると正確性に劣った。
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