2008 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子解析による化学放射線治療感受性予測法の開発~腫瘍細胞を用いた基礎研究~
Project/Area Number |
20790908
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
深田 淳一 Keio University, 医学部, 助教 (50338159)
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Keywords | 放射線 / 生物学 / 遺伝子 |
Research Abstract |
腫瘍細胞の化学放射線療法に対する反応を予測する方法を確立するためことが本研究の最終的な目標である。今年度は、基礎研究として胃癌細胞(MKN-45)に抗癌剤投与と放射線照射を行い、反応を期待できる遺伝子候補としてGADD153, p21, c-Junの3者を選択した。コロニー法での胃癌細胞への放射線照射、抗癌剤投与では、用量に依存した生存率曲線が得られた。当該遺伝子物質のアンチセンスを蛍光色素で標識したところ、一定量を越えたところで、抗癌剤投与、放射線照射で蛍光発色が観察された。3者の候補遺伝子の中では、GADD153が有望と考えられた。real-time PCR quantification system法による定量的測定では、抗癌剤投与では、抗癌剤の投与量と遺伝子発現量(GADD153)の間に用量関係が観察された。一方、放射線照射では期待した投与線量と発現遺伝子量の関係が得られなかった。今年度の成果として、定性的には放射線照射および抗癌剤投与による遺伝子発現が確認できた。これは、治療効果予測という機能的画像診断法の基礎として期待できる。定量的な遺伝子発現量の測定では、放射線投与量と遺伝子発現量の問に用量関係は確認できなかったことから、抗癌剤と放射線では、遺伝子発現に作用時間の違いがある、あるいは、両者に遺伝子発現機序の相違があることが推測された。他の癌細胞系(食道癌あるいは肺癌)を用いて抗癌剤、放射線投与と遺伝子発現量の用量関係が成立するか検討が必要である。
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