2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳内異物排出システムの非侵襲的定量評価を目的とするプローブおよび測定法の開発
Project/Area Number |
20790920
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
岡村 敏充 National Institute of Radiological Sciences, 分子イメージング研究センター, 研究員 (80443068)
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Keywords | グルタチオン抱合体 / 異物排出トランスポータ / プリン |
Research Abstract |
脳内異物排出システムをインビボで非侵襲的かつ定量的に評価するために、Metabolite Extrusion Method(MEM)という方法を考案した。MEMでは、脂溶性の放射性薬剤(親化合物)を静脈内投与し、拡散によって脳内に取り込ませ、そこで速やかに水溶性の基質(プローブ)に変換させる。親化合物の消失後、放射能の減少はプローブのみに依存するので、排出システムの非侵襲的定量評価が可能となる。この原理に基づき、排出トランスポータであるmultidrug resistance-associated protein1 (MRP1)の機能を評価する目的で6-bromo-7-[^<11>C]methylpurine (I)を設計、合成し、基礎検討を行った。化合物Iは6-bromopurineと^<11>CH_3Iをアセトン中100℃で5分間反応させることにより容易に得ることができた。脳内化学形の分析から、Iをマウスに投与後15分以降の脳内放射能はグルタチオン抱合体(II)であり、速やかに脳内で変換されることが確認された。また、小動物用PET装置を用いてマウスにおけるIの動態を検討したところ、Iは速やかに脳内に取り込まれ、投与後90秒で最大値を示しその後徐々に脳内放射能は減少した。一方、Mrp1ノックアウトマウスでは脳内放射能は減少することなくほぼ一定の値を示し、IIの排出速度は野生型マウスに比べ有意に低下した。以上のことから、MEMに基づき設計したIはMRP1の機能を非侵襲的・定量的に評価し得る放射性プローブとして有用であると考えられる。
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