2008 Fiscal Year Annual Research Report
EGFR新規プローブの開発とPETへの有効利用評価
Project/Area Number |
20790921
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
齋藤 有里子 National Institute of Radiological Sciences, 分子イメージング研究センター, 准技術員 (20446537)
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Keywords | 画像診断 / 放射性医薬品 / 分子イメージング / 腫瘍イメージング |
Research Abstract |
現在広範囲のがんの非侵襲的診断法として、糖代謝の充進を指標としたFDG-PETが確立されている。一方、がん細胞に特異性の高い分子の発現や変異を標的とした、分子標的治療薬の効果判定や効果予測に有効な新規PETプローブの開発が求められている。EGFRは多種のがんに発現する受容体で、過剰発現や構造変異による異常な活性化が細胞のがん化や異常増殖の一因となることが知られている。本研究では、活性化型EGFRを特異的に検出する分子プローブの開発を目指した。活性化型EGFRに結合しシグナルを伝達するアダプター分子Grb2の持つEGFR結合部位をプローブ候補とし、in vitro及びin vivoにおける基礎的検討を行い、PETプローブとしての有効性を評価する。 本年度は、1.GST融合ベクターの構築と目的プローブ分子の合成及び精製、2.EGFR発現細胞を用いたin vitro実験により、細胞へのプローブの取り込みや保持時間(安定性)の検証、3.個体内でのプローブの評価をするための基礎的検証を研究項目に掲げた。本年度は1、2の目標はほぼ達成することができた。大腸菌を用いたタンパク質合成では、その50%以上が不溶画分に含まれてしまったが大量培養によって収量を上げることができた。プローブの細胞内への取り込みはEGFRの発現量に影響は受けなかった。しかしながら、細胞内のプローブの局在はEGFR過剰発現細胞と低発現細胞とでは大きく異なり、プローブの保持時間はEGFR過剰発現細胞の方が延長した。さらに、EGFでEGFRの活性を促進すると保持時間の延長は顕著だった。本年度内では項目3については詳細な検討までは至らなかったが、in vitro実験の結果は合成したプローブがEGFRの活性をモニターするのに有用であることを示唆しており、in vivo実験におけるプローブ評価まで研究を進展させることができる。
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