2008 Fiscal Year Annual Research Report
移植免疫寛容におけるmiRNAの探索およびRNAi医薬を用いた免疫制御法の開発
Project/Area Number |
20790929
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北沢 祐介 Osaka University, 医学系研究科, 特任助教 (00467581)
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Keywords | 肝移植 / 免疫寛容 / 遺伝子 / miRNA |
Research Abstract |
本年度の研究では、我々が、(1)同種異系肝移植自然免疫寛容モデル樹立及び検討において : B10.BR(H-2k)をドナー, B10.D2(H-2d)をレシピエントとして, カフ法によるマウス同所性肝移植を行い、移植後5、8、14、30、100日各ポイント(n=3〜5)にて、経時的に血液および肝臓、脾臓組織の採取し、病理組織学および免疫染色的検討を行った。移植後5日から肝臓門脈、中心静脈周辺大量のリンパ球浸潤が見られ、8、14日の時点でピークに達し、その後徐々にリンパ球減り、30日の時点では、かなり少なくなったことが分かった。これらの浸潤細胞がCD4陽性、CD8陽性であった。一方、リンパ球と思われる浸潤細胞のアポトーシスが増加した。移植肝臓内に何らかの機序によって、肝移植後の自然生着に関わっていることが示唆された。また、100日以上の生存のマウスを寛容モデルとして供した。(2)マウス肝移植モデルを用いた免疫寛容誘導におけるB7-H1の必要性の検討において : 免疫補助シグナルであるPD-1/PD-L1経路は免疫反応において抑制的な調節をしていることが示唆されている。以上と同様の組み合わせでマウス同所性肝移植を行い、移植当日より抗PD-L1抗体を週2回腹腔内投与し、その生存日数を検討した。抗体非投与群ではすべて長期生存が得られたのに対し(100日以上)、抗PD-L1抗体投与群では移植後12日以内にマウスがすべて死亡した。病理学的所見では重篤なリンパ球浸潤や出血が観察された。また抗PD-L1抗体投与例におけるアログラフトでは非投与例と比較してIFN-γ、TNF-α、IL-2、iNOS、そしてOPNが上昇していた。同種異系組み合わせにおける肝臓の生着においてグラフトへの浸潤細胞上のB7-H1発現は重要な役割をもっていることを明らかにした。(3)mRNA、miRNAマイクロアレイを用いた網羅的遺伝子およびmiRNA発現解析において : (1)の研究で得られた移植後各ポイントの肝臓組織よりトータルRNAを抽出して、アジレント2100バイオアナライザを用いての検定及びNanoDropを用いての濃度測定を行い、mRNAおよびmiRNA発現プロファイル用の検討の準備ができた。
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