2009 Fiscal Year Annual Research Report
BRMによる樹状細胞の機能修飾を用いた癌治療の試み
Project/Area Number |
20790934
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
星野 実加 Fukushima Medical University, 医学部, 助教 (00464511)
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Keywords | 樹状細胞 / OK432 / PSK / 遊走能 |
Research Abstract |
樹状細胞(DC)を用いた特異的癌免疫療法において抗腫瘍効果を得るには、充分なDCの成熟化とCTL誘導能,サイトカイン産生能に加え,良好な遊走能を確保する事が必須である。前年度,我々はBiological Response Modifier (BRM)として知られているOK432を用いて成熟化したDCでは高い成熟度とCTL誘導能を持つが,遊走能の指標となるCCR7の発現が低下していること、また同じくBRMの一つであるPSKを併用することにより、健常人・担癌患者の双方でCCR7の発現が高くなることを見いだした。今回我々は,DCの実際の遊走細胞数をin vitroで測定した.また,サイトカイン産生能についても検討した. まず、我々は健常人3例、担癌患者4例の末梢血から作成した未熟DCに、成熟化刺激としてPSK、OK432単独、および両者の併用をそれぞれ添加し、以下の検討を行った。(1) CCR7のリガンドMIP3βに対するDCの遊走細胞数。(2) DC培養上清中のIL-12およびIFNγの濃度。 検討の結果は,(1) PSKとOK432を併用して成熟化したDCは、MIP3βに対して遊走した成熟樹状細胞数が他の条件の約2倍となった。(2) DC培養上清中のIFNγ、IL12はOK432によって成熟化したDCで高値であった。PSKとOK432を併用して成熟化したDCでも同等の結果が得られた。 今回の検討により,OK432によつて成熟化したDCは成熟度とCTL誘導能に優れるが、遊走能が低いこと,また,PSKをOK432に併用することにより、成熟度とCTL誘導能を損なわずに、優れた遊走能を有するDCを作成し得ることがわかった。OK432、PSKはGMP gradeのBRMであるため、今後臨床におけるDC療法への応用が期待される。
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