2009 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外(1064nm)励起ラマン分光法による消化器癌診断
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20790949
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
川端 俊貴 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部, リサーチアシスタント (90402289)
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Keywords | 近赤外ラマン分光法 / 胃癌診断 / 消化器癌 / Optical biopsy |
Research Abstract |
本研究は,ラマン分光法を用いて癌組織と正常組織との明確な識別を行う診断技術の開発を目的としたものである.客観性・簡便性・低侵襲性などの特性を有する. 平成21年度に測定機器の故障があり,この修理・調整に日時を要したため.予定から計画を変更せざるを得なかった. (1) 前向き試験の実施(ラマン分光法を用いた胃癌診断) 前年度で得られた正常胃粘膜標準スペクトルデータから癌判別の基準を定義しようと試みたが,機器の状態不良によりデータ数が不足し不可能であった.しかし,機器の修理調整により,より安定した切除検体のデータが取得できるようになり,切除検体の測定数を増加させ解析することが,目標達成に近いと考えた.前年度に続き切除検体の測定を継続.10症例12病変を対象にできた.測定点は癌81点,正常粘膜132点で,感度72%,特異度73%,正診率72%で両者を判別可能であった.さらに詳細な検討により,臨床で必要とされる深達度診断や,組織診断において正診率の向上が見られた.すなわち,分化型は特異度良く(91%),未分化型は感度良く(88%)正常粘膜と判別可能であった.また,癌が既知であれば,分化型と未分化型は正診率98%で,粘膜内癌と粘膜下層浸潤癌は正診率98%で判別可能であり,内視鏡治療における有用な情報を提供できる可能性が示唆できた.この結果を第110回外科学会学術集会などにおいて報告した. (2) ラマンスペクトル解析による,胃癌に特異的な物質やその構造の同定 癌と非癌の差はスペクトル上1650cm-1付近で顕著であり,タンパク質(アミド基)に由来すると考えられたが,特異的物質の同定にまでは至らなかった. (3) ラマン分光測定装置の小型化および内視鏡ラマン分光測定プローブの開発 機器の内視鏡検査への最適化を進めようとしたが,機器の故障があり,修理調整に時間を要した.内視鏡への応用はまだ不可能であるが,さらに安定して切除検体を測定できるように改良された.
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Research Products
(2 results)