2009 Fiscal Year Annual Research Report
sm浸潤大腸癌治療戦略確立のための新規バイオマーカーの開発
Project/Area Number |
20790965
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
奥 喜全 Wakayama Medical University, 医学部, 学内助教 (10453185)
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Keywords | 大腸癌 / 遺伝子診断 |
Research Abstract |
大腸癌においてリンパ節転移の有無は重要な予後因子である.特に粘膜下層浸潤癌(SM大腸癌)のリンパ節転移率は10%程度であり,内視鏡治療のみを行うか,リンパ節廓清を伴う外科的切除を行うかは浸潤距離や脈管侵襲などの病理因子によって判断されている,これは個々の患者にとって至適治療が行われているとは言いがたい状況であり,SM大腸癌のリンパ節転移の有無を予測する分子生物学的マーカーの開発が急務である.当教室ではこれまで,「癌先進部での癌の脱分化」という大腸癌のリンパ節転移に関与するとされる現象に着目し,網羅的遺伝子発現解析を行い,この現象に関わる10個の候補遺伝子を選定した.これらの候補遺伝子は大腸癌にリンパ節転移をもたらす過程において重要であると考えられ,これらの遺伝子と大腸癌のリンパ節転移との関連性について検討した. 10候補遺伝子のmRNA発現量および臨床・病理因子のうちリンパ節転移に関与する因子を検討したところCITED1 (Cbp/p300-interacting transactivator with Glu/Asp-rich COOH-terminal domain 1)mRNA高発現リンパ節転移の独立した危険因子であった.免疫組織化学染色を用いてCITED1発現量を定量し,臨床・病理因子とともにSM大腸癌のリンパ節転移に関与する因子を検討したところ,多変量解析ではCITED1高発現がリンパ節転移の独立した危険因子であった.CITED1が癌の悪性度やリンパ節転移との関連性を示した報告はこれまでになく,CITED1と大腸癌リンパ節転移との関連性は新たな知見である.特にSM大腸癌での検討においてCITED1高発現はリンパ節転移の危険因子となることから,CITED1がSM大腸癌の治療方針を決定する分子マーカーとなる可能性が示唆された.
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Research Products
(2 results)