2008 Fiscal Year Annual Research Report
ジエチルニトロソアミン誘発ラット肝発癌モデルにおけるT‐614の効果
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20790973
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
坂本 太郎 Jikei University School of Medicine, 医学部, 助教 (60366234)
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Keywords | T-614 / 血管新生 / 肝細胞癌 / 治療 |
Research Abstract |
ラットに発癌性物質DEN 100ppmを12週自由飲水させた肝細胞癌モデルを作成し、抗リウマチ薬であるT-614の投与時期により4群に分けて、計画通りに解剖した。摘出肝の肉眼的評価では、発癌抑制群(I・II群)・治療群(III・IV群)共に、腫瘍性結節の最大径・結節数が対照群に比べてT-614投与によって有意に抑制されていた。この結果により、T-614が何らかの抗癌作用を有することが証明された。解剖時に血液を採取し、各サイトカインの測定を行った。われわれが注目した血管新生関連サイトカインであるIL-8は、予備実験で行ったin vitroの結果と同様に、ラット生体内でもT-614投与により有意に抑制されていた。さらに摘出肝を血管上皮のマーカーであるCD31で染色した。CD31陽性面積を画像解析したところ、II群・III群において、T-614投与群では有意にCD31陽性面積の減少を認めた。これにより、生体内でもIL-8抑制による抗血管新生療法が期待できると考えられた。 もう一つの大きな評価項目として、T-614投与によるラット肝臓内でのNF-κBの活性について検討を行った。NF-κBの構成蛋白であるp65の免疫染色を摘出肝に対して行ったが、染色性が不十分であり、評価対象としては不確実なものと考えられた。そこでELISAを用いて肝細胞内のNF-κBを定量評価するために実験を開始した。この結果が明らかになり、T-614投与によるNF-κBの抑制が明らかになれば、抗炎症性サイトカイン療法という点からも抗腫瘍効果を期待できる。測定結果の評価については平成21年度に行うこととなる。
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