2008 Fiscal Year Annual Research Report
ルミカンによるケラチノサイト増殖因子シグナル伝達経路の制御機構の開発と治療応用
Project/Area Number |
20790974
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
山本 哲志 Nippon Medical School, 医学部, 助教 (20453920)
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Keywords | 膵臓癌 / プロテオグリカン / AKTシグナル |
Research Abstract |
膵臓癌におけるルミカンの役割を検討するため、培養膵臓癌細胞の一つであるPanc-1細胞を用いて実験を行った。siRNAを用いてルミカンの発現を抑制することで、ルミカンのシグナル伝達経路に検討を加えたところ、ルミカンの発現が抑制されるとAKTのリン酸化が亢進していることが明らかとなった。このことから、ルミカンが発現しているとAKTのリン酸化が抑制されることが推測された。そこでルミカンの過剰発現がAKTのリン酸化へ及ぼす影響を検討するため、Panc-1細胞にルミカンを遺伝子導入した安定過剰発現株を作成した。この過剰発現株を使用することで、ルミカンとAKTシグナル経路の相互作用を詳細に検討することができ、それに関連した細胞増殖や細胞遊走能などへの影響を検討することができる。これにより、今後膵臓癌におけるルミカンの機能がさらに明らかになることが期待される。 AKTはアポトーシスからの防御、細胞増殖の促進や代謝反応の多様化などに関与するキナーゼであり、多くの癌細胞、特に抗がん剤に耐性を示す癌細胞ではAKTのリン酸化が亢進していることが知られている。そのため、近年ではAKTは新規抗がん剤開発のための標的分子として注目が寄せられており、AKTシグナルに関連した多くの研究がなされている。今回ルミカンの発現がAKTのリン酸化と関連していることを明らかにしたが、このことはルミカンを使用した新たな膵臓癌治療法を開発することができる可能性があることを示唆している。
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