2009 Fiscal Year Annual Research Report
食道癌における線維芽細胞増殖因子受容体(KGFR)の発現と局在および分子標的治療
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20790975
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
吉野 雅則 Nippon Medical School, 医学部, 助教 (10343609)
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Keywords | KGFR / KGF / 食道癌 / siRNA |
Research Abstract |
これまでの経過としては、KGFR抗体を用いて、培養食道癌細胞3系統(TE-1、8、11)におけるKGFRタンパクの発現を確認し、ヒト食道癌組織と正常組織の新鮮凍結標本を用いたRT-PCRでは、KGFR mRNAの発現を確認した。ヒト食道癌組織上でKGFRmRNAの発現を確認し、KGFRの産生細胞を同定した。上記のKGFR抗体を用いて、食道癌組織と正常食道組織のホルマリン固定パラフィン包埋組織におけるKGFRタンパクの局在を検討した。また、連続切片上で細胞増殖マーカーであるKi-67を用いた染色を行ない、比較検討したところ、KGFRタンパクの局在は癌真珠の中心部に向かうほど豊富にみとめられた。食道癌組織におけるKGFRの発現は腫瘍の分化度と有意な相関がみとめられた。ligandであるKGFの発現はリンパ管侵襲、リンパ節転移と有意な相関がみとめられた。 以上の結果をふまえた上でさらに以下の検討を行った。 1.培養細胞系(in vitro) 培養食道癌細胞(TE-1、8、11)にrecombinant KGFあるいはFGF-10を添加し、細胞増殖曲線を作製した。また、KGFR(FGFR2-IIIb)、FGFR2-IIIc、KGFR+KGFを遺伝子導入し、細胞の増殖能、遊走能、分化傾向の変化について検討した。 2.KGFR阻害実験(in vitro) pSilencer siRNA Expression vector(Ambion社)に組み込んだsiRNAを用い、KGFR mRNAの発現を長期間にわたり阻害し、培養食道癌細胞の増殖、遊走、分化への影響を調べた。 3.総合評価、学会・論文発表 実験結果と食道癌の組織型・肉眼型・深達度・リンパ節転移などの臨床病理学的所見、および予後とを比較検討したところ、KGFR、KGFのいずれも予後との関連は認めなかったが、KGFRは肉眼型と、KGFはリンパ管浸襲およびリンパ節転移と有意な相関があった。
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