2009 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌で過剰発現するCytochrome P450 2A6の機能解明と治療応用
Project/Area Number |
20790976
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
松田 陽子 Nippon Medical School, 医学部, 助教 (20363187)
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Keywords | Cytochrome P450 / 大腸癌 / 線維芽細胞増殖因子受容体 |
Research Abstract |
Cytochrome P450(CYP)系は生体内で大量に存在するPhase I酵素ファミリーの一つであり、大腸においても様々な発癌物質や抗癌剤の代謝に関与する。CYPの遺伝子多型は発癌リスクと深く関与することが報告されている。一方、大腸の発癌過程においては遺伝子変異の段階的な蓄積が起こり、大腸癌で過剰に発現する様々な増殖因子やその受容体の異常が報告されている。その中でも、線維芽細胞増殖因子受容体FGFR2は、乳癌、及び子宮内膜癌においてそのSNPsが発癌に関与することが報告され、注目されている。 本研究では、FGFR2のアイソフォームであるFGFR2IIIcの発現について、大腸の過形成性ポリープ、腺腫、腺癌組織を用いて検討した。その結果、大腸発癌過程の進行に応じて、FGFR2IIIcの過剰発現が認められた。また、大腸癌におけるFGFR2IIIcの発現は肝転移、及び予後不良と関連を認めた。ヒト大腸癌培養細胞を用いて、FGFR2IIIc過剰発現細胞株を作成したところ、in vitro,in vivoにおいて細胞増殖の亢進を認めた。一方、FGFR2IIIc抑制株においては、細胞増殖の抑制を認めた。 以上の結果より、FGFR2IIIcは大腸癌の治療標的の候補となる可能性がある。今後は、FGFR2IIIcとCYPとの関連、及び抗癌剤の代謝との関連について解明し、FGFR2IIIcの大腸発癌における役割を検討する。
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Research Products
(3 results)