2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20790977
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
今井 一博 Akita University, 医学部, 助教 (70396555)
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Keywords | 肺癌 / センチネルリンパ節 / インドシアニングリーン |
Research Abstract |
肺癌根治術において2群リンパ節転移は, ガイドライン上外科療法の有効性は証明されていない, しかし2群領域に単独転移を認める場合は, 複数個認める場合と比較して予後が良いことが知られている. 一方, 我々は肺癌のセンチネルリンパ節(SN)の研究から, 45.4%の症例で2群にリンパ節にいわゆるスキップSNを認めることを報告してきた (Eur J Cardiothorac Surg 32 : 770-775, 2007). このことは腫瘍から縦隔リンパ節に直接注ぐリンパ流の存在を示唆する. 実際, 解剖遺体を用いた肺縦隔のリンパ流の研究では, 経肺胸膜リンパ流の存在が明らかにされている. 今回我々は, ICG (ジアグノグリーン) を蛍光トレーサーとして使用して肺胸膜リンパ流の同定を試みた. 分離肺換気後, ジアグノグリーン1mg/mlうち0.3mlを肺臓側胸膜に注射し, 約15分間観察した.リンパ流をPDE (Photodynamic Eye)を用い, 可視化して観察した. PDEは近赤外線光を観察するカメラ装置であり, 組織表面から浅層の観察や, 組織中の蛍光試薬の分布等の確認が可能である. 経胸膜リンパ流は81.8%で同定された. しかし深部のリンパ流の描出は不可能であり, 肺内の経気管支リンパ流を同定することはできなかった, 1例で磁気センサーを用いたSNの同定とICGを用いたリンパ流の観察を併用した. ICGが経胸膜リンパ流を通り, 縦隔リンパ節に流入した. このリンパ節は磁気センサーで同定したSNと一致していた. 肺胸膜表面には縦隔リンパ節に直接流入する経胸膜リンパ流が存在する. いわゆるスキップSNは腫瘍から直接縦隔リンパ節に注ぐリンパ流を介したものである. このことが単独縦隔リンパ節転移症例の予後が複数個の縦隔リンパ節転移症例の予後より, よいことの一因と思われた.
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Research Products
(1 results)