2009 Fiscal Year Annual Research Report
長寿命回転式血液ポンプを用いた完全人工心臓システムの構築に関する研究
Project/Area Number |
20790980
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三浦 英和 Tohoku University, 加齢医学研究所, 助教 (50451894)
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Keywords | 完全人工心臓 / 回転式血液ポンプ / 動圧軸受 / 高効率化 / 経皮的電力伝送システム / 両心バイパス |
Research Abstract |
完全人工心臓は、重症心不全の重要な治療手段として期待される。感染症の問題や患者のQ.O.Lを考えるとすべてのデバイスを体内に埋め込む小型の体内埋込式の人工心臓が望まれている。サイズと耐久性の大きな問題が残されており、日本人など小柄な体格の人への埋込も可能で永久使用可能な完全体内埋込型の完全置換型人工心臓を開発する必要がある。そこで新しい構造の回転式血液ポンプを用いて永久使用を目指した完全埋込式完全置換型人工心臓の研究開発を行った。最初に試作した左心用ポンプでは動圧軸受による非接触支持を確認できたが5L、100mmHgを出力するために30Wの消費電力を必要とした。これでは熱影響により溶血、血栓の問題が生じるのは明白であるためポンプのエネルギー効率の改善が急務となった。2次試作モデルでは流入側の螺旋流路を内側に配置し遠心力による作用を高めると同時に軸受の安定のためにインペラの上面と底面にも動圧軸受けを設置した。ポンプの外径は69mm、高さ35mmでインペラの外径は44mmである。前述の条件における消費電力は5Wで、大幅に高効率化できた。これによりモータの出力が小さくすむためにトータルサイズが大幅に小型化できることが示唆された。また経皮的電力伝送システムと接続し動作の確認を行った。急性動物実験では成ヤギ(ザーネン種♀63kg)を用い麻酔下に左心ポンプを左心房脱血、下行大動脈送血にて接続し、右心ポンプを上大静脈と下大静脈から脱血し肺動脈に送血するように接続し両心補助状態でポンプの運転を開始した。その後、心室をクランプして実質的に完全人工心臓として動作させた。結果、流量は左心4L/min、右心3.8L/min、大動脈圧100mmHg、肺動脈圧35mmHg程度で循環を維持することができた。
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