2008 Fiscal Year Annual Research Report
肺がんにおけるカルボキシペプチダーゼMの発現と予後の研究
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20790982
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
藤原 直之 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (80451912)
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Keywords | 肺がん / カルボキシペプチダーゼM / CPM / 肺胞上皮細胞 |
Research Abstract |
カルボキシペプチターゼM(CPM)はEGFを分解し活性化させる酵素タンパクとして知られている. EGFはEGFRのリガンドであり, CPM-EGE-EGFRというカスケードは肺癌との関連が予想されている. またCPMは従来I型肺胞上皮細胞に発現しているとされてきたが, むしろII型肺胞上皮細胞に特異的である可能性が示唆されている。以上を踏まえて以下の研究を行った。 1. ヒト肺がん標本におけるCPMの発現量と局在を検討するため、市販の抗ヒトCPM抗体を使用して免疫組織化学の条件検討を行った。結果は肺がん組織から陽性所見が得られたが、正常組織からは陽性所見を得られず、I型肺胞上皮細胞またはII型肺胞上皮細胞に局在するといういままでの知見と矛盾することとなり、新たに抗体を作製して検討する必要があると考えられた。 2. ラット肺がんモデルを作製するため、6匹のラットにN-ニトロソビス(2-オキソプロピル)アミン(BHP)を12週間経口投与し, それからさらに12週間後に安楽死させた, 結果はBHPを投与したすべてのラットに腺癌様の肺腫瘍が複数個ずつ形成された. この方法は安定してラットに肺がんを作製できることが確認された。 3. ラット肺がん標本におけるCPMの発現量と局在を検討するため、2. で作製したラット肺がん標本に対して、抗ラット、CPM抗体で免疫組織化学およびウェスタンブロッティングを行った。結果は(1) 正常組織部分ではCPMはII型肺胞上皮細胞に局在していた。(2) 腫瘍組織部分では異型度が低い部分に強く発現する傾向があった。(3) ウェスタンブロッティングで発現量が正常組織よりも腫瘍組織で増加していることが示された。以上よりCPMはII型肺胞上皮細胞に局在することが確認され、II型肺胞上皮細胞由来の肺がんについては発癌や増殖などに関連があると考えられた.
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