2008 Fiscal Year Annual Research Report
I期原発性肺腺癌におけるDNA損傷応答蛋白発現の臨床的意義
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20790990
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
田中 俊樹 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 助教 (50457305)
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Keywords | 癌 / DNA損傷応答 / Biomarker |
Research Abstract |
昨年の研究結果からは、腺癌症例において他の組織型よりもDNA損傷応答タンパク発現が多い傾向にあることがわかった。しかしながら、当初期待していた臨床的パラメーターは、現在検討している段階では、有意なものは示されなかった。興味深い結果として、原発性肺腺癌の早期癌と考えられている気管支肺胞上皮癌でのDNA損傷応答タンパクの発現はほとんど見られず、進行癌において発現されていることが多いことが分かった。これは、ATM、γH2AXの発現は腫瘍細胞のDNAが周囲環境因子により損傷を受ける頻度は進行癌においてより多く、その結果DNAのmutationが蓄積され新たな性質の獲得を促進していると考えられる。今年度は、肺腺癌症例におけるATM・H2AX・Chk2発現とapoptosis、もしくはDNA修復に関連する蛋白発現(FOXO-1、CDK2)の関連を調べ、DNA損傷後の修復過程に問題がないかを検討する。更に最近予後不良といわれる肺気腫合併症例や、stage IB症例も含めて臨床学的パラメーターと病理学的診断との関連の検討を継続する。 1)病理学的診断との関連 : pT1-2NOMO症例において、各種蛋白の発現と病理学的因子、すなわち組織型(早期癌として気管支肺胞上皮癌、進行癌として乳頭状腺癌)、分化度、脈管浸潤、腫瘍径との関連を調べる。2)臨床学的パラメーターとの関連 : 各種蛋白発現と臨床的パラメーター、すなわち手術時転移の有無、術後再発の有無、予後に関して以下の各群で比較検討する。(1)pT1-2NOMO症例で術後再発の有無、(2)術後病理でのリンパ節転移の有無。3)肺気腫合併の有無と発現の関係を検討する。
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