2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト肺癌培養細胞株NOGマウス肺葉内移植モデルの確立
Project/Area Number |
20790999
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
井上 芳正 Tokai University, 医学部, 講師 (30306716)
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Keywords | 非小細胞肺癌 / NOGマウス / MRI / 正所性移植モデル |
Research Abstract |
本年度は、マウス肺内の腫瘍病変の画像評価とその有用性について評価するため、腫瘍細胞浮遊液をNOGマウスの尾静脈に接種することで肺内へ生着させ、MRI画像を用いて評価する実験を行った。 ヒト肺癌細胞株A549(adenocarcinoma)を培養し、80%コンフルエント時にtrypsin処理し、浮遊細胞を作製した。 NOGマウス(♂、11~12週令)15匹を5群に分け、作成した細胞浮遊液内の細胞数をそれぞれ、10^2、10^3、10^4、10^5、10^6個に調整し尾静脈に注射した。それぞれ3、4、5週後に各群1匹ずつ犠牲死させ、肺固定標本を作製し、病巣の生着を評価したところ、すべての条件で複数の癌細胞colony生着を確認した。Colonyの数は注入細胞数条件間で安定していることも確認した。この結果を検討した結果、画像撮影実験における注入細胞数を10^5、10^6とすることとした。 MRI画像撮影実験を以下の通り行った。NOGマウス10匹を2群に分け、10^5、10^6個に調整したAS49細胞浮遊液をそれぞれ尾静脈に注射した。2、3、4、5週後に各群1匹ずつ犠牲死させ、直後にMRIを用いて画像撮影を行った。撮影後に肺固定標本を作製し、画像との対比を行った。肺固定標本では10^5、10^6個の両条件とも2週目より肺内の腫瘍病変を顕微鏡的に確認した。腫瘍病変数は注入細胞数に応じて増減していた。しかし同じ注入細胞数の群では各個体間では犠牲死の時期に応じて病変の増大・融合所見はあるものの、形成される病変数に明らかなばらつきはなかった。MRI画像では10^5注入群では4週目、10^6注入群では3週目より肺野全体の濃度上昇所見が確認され、時間経過とともに病変の融合を反映すると思われる濃度上昇と浸潤陰影の出現が確認された。本実験でNOGマウス体内病変の解剖学的な変化の非侵襲的な検査が可能である可能性が示唆され、今後施設の体制をさらに整え、in vivoにおける画像撮影やマウス肺内への直接移植した腫瘍病変の経時的変化の評価や抗癌剤治療の効果判定等へと進めていく予定である。
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