2009 Fiscal Year Annual Research Report
悪性胸膜中皮腫の受容体型チロシンキナーゼ異常の解析と新規治療戦略の開発
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20791000
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
福井 高幸 Aichi Cancer Center Research Institute, 分子腫瘍学部, 研究員 (70463198)
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Keywords | 中皮種 / 分子標的治療 / チロシンキナーゼ / EGFR / MET |
Research Abstract |
悪性胸膜中皮腫の多くは治療抵抗性であり予後は極めて不良であり、新たな治療薬の開発が望まれている。肺がん、乳がんなど他のがんにおいて受容体型チロシンキナーゼ(RTK)の活性化変異、増幅による過剰発現が報告され、様々なRTK特異的な分子標的治療薬が開発されている。中皮腫においてはEGFRやPDGFRなどの発現の上昇と活性化が高頻度にみられることが報告されているが、EGFR,PDGFRを標的としたRTK inhibitorの臨床治験では有意な治療効果は得られていない。我々は多くの中皮腫細胞株および臨床検体においてRTKの一つであるMETの発現上昇・活性化が検出されることを見出した。しかしRNAiによるMETのノックダウンでは増殖における効果が軽度もしくは認められない細胞株がほとんどであり、MET特異的阻害剤を用いた系においても増殖および下流のシグナルであるAKTの活性化に与えるにおける効果は弱いものであった。15細胞株における他のRTKの活性化について抗体アレイを用いて網羅的に調べたところ、多くの細胞株において複数のRTKの活性化が検出され、中でもEGFRファミリーとMETとのコアクチベーションが10細胞株で検出された。EGFRおよびMETの阻害剤の影響について調べたところ、単剤処理では増殖に及ぼす影響は軽度であったが、両者の併用により強い増殖抑制がみられ、下流のシグナル経路であるAKTの活性化の低下もみられた。中皮腫においては複数のRTKの活性化が検出され、特にMETとEGFRファミリーの活性が高頻度に検出されることから、各分子に対する阻害剤を併用することが有用であることが示唆された。
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